このコラムでは、架空の外食企業のクレーム対応担当者の日常を通して、最善のクレーム対応を考えていきます。 ○月×日 夜 厄介な有症苦情 「ノロウイルスに感染したかもしれないわ。私が病院に行ったら、その事実が発覚して、あなたたちの店は困るんじゃないの?」。 昨日の昼、当社の店で食事をして食中毒になったかもしれない、という女性から電話が入った。いわゆる「有症苦情」と呼ばれるクレームだ。高齢の母親が腹痛や嘔吐に襲われ、自分自身も少し気分が悪くなったという。 昨日、初期対応を行った店長A君からのSOSで、私が対応を引き継ぎ、女性客に電話をかけた。 A君が電話を受けた時、なかなか電話を切ってくれない女性客に彼は「空腹の状態で、脂っこい料理を食べたので、気分が悪くなったのではないでしょうか。食中毒の場合、ほかのお客様からも、同じ内容の苦情が入るはずですが、入っていませんし……」と説得しようとしたが、上手