前回に続き、日本語について考えていきます。今回は日本語の多彩さについて考えていることを書こうと思います。 英語で「一人称」は「I」、フランス語なら「Je」、ドイツ語なら「Ich」です。これに比して、日本語にはたくさんの一人称表現があります。 私、僕、ぼくちゃん、あたし、おれ、俺、あたい、あたくし、あっし、自分、おいら、おいどん、おれっち、それがし、我、吾、吾人、小職、小生、非才、不才、当方、おら、わ、我が輩、拙者、拙僧、拙、etc.(思いつくまま、順不同です)とたくさんあります。 これらを、私たちは、微妙に使い分けています。日本語は、このように言語表現が他言語に比して多彩です。 だから、日本語の小説を翻訳するのは大変だと思います。 「吾輩は猫である」を英語で表現すると 「I am a CAT.」になりますが、それでは、吾輩に込められた“意味合い”が伝わらないと思います。 「吾輩」には、「男