電力会社10社でつくる電気事業連合会(東京都)が昨年1~2月、原発事故の防災対策強化の検討を進めていた内閣府原子力安全委員会に対し、「地価の下落や観光客の減少を招く」などとして反対する文書を提出していたことが分かった。 経済産業省原子力安全・保安院が2006年に、安全委の防災指針強化に反対したのが明らかになったばかりで、電力会社側も防災対策に消極的だった姿勢が浮き彫りになった。 国際原子力機関は02年以降、原発事故時の住民の防災対策で新たな考え方を提示。これを受けて安全委は10年12月、防災指針に反映する考えを明らかにした。 電事連は11年1、2月の2回にわたり、「地域経済に与える影響が出ないとは言い切れない」「住民から国の防災規制に不信感が生じる可能性がある」と反対する趣旨の文書を提出した。電事連は「新たな防災対策の策定に協力する中で、影響を共有する必要があると考えた」と話している。