「中越戦争」の苦戦ぶりを描いた問題作 中越戦争では、中国は「懲罰」の大旗を片手に振り上げながら、ベトナムの奥深くまで攻め込んだものの、実際は対米戦争の経験豊富なベトナムの兵士たちに縦深作戦によってハノイ近くの大部隊集結地まで戦力を削り落とされながら引き摺り込まれた。いざ決戦という局面で体力の尽きかけていた中国軍は「所期の目的が達成された」として全面撤退を決めた。しかしながら、中越戦争の引き金になったベトナム軍によるカンボジア侵入を解消することはできず、一人芝居で終わってしまったような戦争であった。一方で、復権したばかりの鄧小平が軍内基盤を固めるにあたっては中越戦争発動の効果は大きかったと見る向きもある。 いずれによせ、戦場に駆り出された若者が肉体的・精神的に受けたダメージは深刻なものがあった。主人公の一人である文工団の出身で野戦病院の看護を務めた何小萍(ミャオ・ミャオ演)が、戦争後に心を病