本年6月に拙著『中国のデジタルイノベーション』(岩波書店)を出版して以来、講演等の依頼も頂き日本の企業や行政からの関心の高さを感じる機会を得られた。現在はコロナ禍を経て二年超ぶりの中国滞在ということで、デジタル分野における中国現地での変化を中心に伝えていきたい。本稿では行政のコロナ対策における活用とその結果としての社会のデジタル化について述べていく。 世界的にはコロナ対策は緩和の傾向にある。欧米や日本を中心にワクチン接種が国民に浸透したこともあり、例え感染しても重症化リスクが低いことから内外の行動規制はほぼ撤廃され、海外旅行も隔離の必要なしで再開されている。 一方中国では他国が緩和に舵を取る中、厳格なゼロコロナ政策が維持されている。 「一人感染、全家隔離、整楼封控、小区管控」(一人感染者が出れば、一家全員を隔離、住居の入ったビルは封鎖、居住区は管理下におかれる、という意味)との基本方針は揺