2月28 河野龍太郎『日本経済の死角』(ちくま新書) 7点 カテゴリ:政治・経済7点 近年、注目を集めているエコノミストが「失われた30年」の要因と、現在の日本の経済状況の問題点を診断した本。 副題は「収奪的システムを解き明かす」となっていますが、人によっては「収奪的」という言葉から2024年のノーベル経済学賞を受賞したアセモグル、ロビンソン、ジョンソンの議論を思い起こすかもしれませんが、本書では現在の日本を「収奪的システム」とみなして議論を進めています。 議論は多岐に及んでおり、そのすべてが正しいかどうかを判断する力は評者にありませんが、少なくとも人々の肌感覚には合った議論が展開されており、著者が注目を浴びている理由というのはよくわかりました。 目次は以下の通り。第1章 生産性が上がっても実質賃金が上がらない理由 第2章 定期昇給の下での実質ゼロベアの罠 第3章 対外直接投資の落とし穴