難病患者を救う未来の「切り札」と期待される人工多能性幹細胞(iPS細胞)が、既にヒトの治療に使われていた−−。この衝撃的な報道は事実だったのか。真偽不明のなか、「治療した」と言う研究者の森口尚史氏との関係が取りざたされる東京医科歯科大と東京大が12日、相次いで記者会見を開いて研究への関与を否定した。ニュースを伝えた報道機関も独自に検証することを表明した。 東京医科歯科大で会見した佐藤千史教授は、森口氏の大学院時代の指導教官だった。今回の発表について、今年8〜9月、森口氏から電子メールで依頼を受け、内容の整合性を確認し、研究責任者として発表する研究概要説明に名を連ねることを了承したという。 その際、臨床研究に関係している研究者の名前が他に書かれていないことを指摘。しかし森口氏は「これは論文ではないし、国際会議も大きなものではない。臨床関係者は(名前がなくても)いいと言っている」と返信してきた