毒性対策、設計で工夫 船舶の脱炭素燃料の中で特に注目はアンモニアだ。アンモニア燃料船に注力している日本郵船は、「三つの理由で現実味がある」(グリーンビジネスグループ燃料炭・アンモニアグループの六呂田高広グループ長代理)とその理由を語る。 まずアンモニアは炭素を含まないため、燃やしても二酸化炭素(CO2)を出さない。同じ炭素を含まない燃料の水素と比べ少ない量でエネルギーを得られ、小さな燃料タンクで済む。そして水素よりも沸点が高く、取り扱いやすい。 一方でアンモニアは毒性がある。そこで日本郵船では、タンクの配置やエンジン設計の工夫などでエンジンルーム内での漏れを防ぎ、万が一漏れても充満せず、無害化する設計を進めている。遠隔管理技術も活用し「アンモニア燃焼時は、エンジンルームに人が入らない運用が基本になる」(同)という。 同社はIHI原動機(東京都千代田区)と開発を進めるアンモニア燃料タグボート