「お湯のような海水温でした。下の方に潜るとひんやりしていますが、海面は熱いのです。海に入って『熱い、熱い』と言うなんて、気持ち悪いなと思いました」 2023年夏のことである。 奈津希さんは海女だ。「輪島の海女漁保存振興会」の会長として、市内の海女を取りまとめる立場にある。高齢化が進んだ海女の世界では若い方だが、15歳で海女になってから28年も経った。潜水の深さと獲物を見つける視力の良さでは輪島随一と評価されている。 熟練の域に達している奈津希さんだけに、以前も「海が熱い」と感じたことはあった。「その時には潜るとサザエが湧くようにいました」と語る。しかし、2023年の夏はアワビがごくわずかしか採れなかった。 海女漁の漁獲。アワビが少ない(舳倉島。2019年撮影) 「5人で潜ると、そのうち3人は1匹も採れないというような状態でした」 恐ろしいことに、そうした年が増えている。 管理型の漁業ができ
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