『バービー』(2023年)、『プロミシング・ヤング・ウーマン』(2020年)、『82年生まれ、キム・ジヨン』(2020年)など、近年至るところで、差別的な環境に生きる女性が主体的な生き方を模索する姿を力強く描く映画が製作されている。そんななか、圧倒的に個性的でありながら、これらの作品に並ぶほどの衝撃を放つ作品が、日本からも出現することとなった。それが、山中瑶子監督、河合優実主演の『ナミビアの砂漠』である。 その軽やかながら、凄まじい強度を併せ持った内容は話題を呼び、映画館で満席の回が続くなどの活況をもたらした。心が撃ち抜かれたり、ワイルドな道を歩む主人公に共感したという観客の声も後を絶たない。しかしそれでもなお、この映画は十分に評価されているとはいえないのかもしれない。なぜなら本作『ナミビアの砂漠』は、社会における変革の過渡期といえる、この時代のカルチャーを代表する一作になったり、世界の映