深刻化する介護業界の人手不足――その課題を解決する手段として政府も力を入れているのが介護ロボットの活用だ。しかし現状では、価格面や機能面で現場とのニーズにギャップが生じ、思うように活用が進んでいないという課題もある。 そうした中、あるロボットが介護現場で効果を発揮し始めている。人型ロボットの「Pepper」だ。 徘徊を防止し、スタッフの業務負担 都内にある特別養護老人ホーム「美郷」では、利用者の無断離設(徘徊、はいかい)によって生じるスタッフの業務負担が課題となっていた。手掛かりが少ない場合は捜索範囲が絞れないため、長時間捜索に時間を割くことになってしまう。何より、認知症患者の徘徊は交通事故などに巻き込まれる可能性が高いため、とても危険だ。 そこで2016年、対策としてアプリ開発会社LYKAON(リカオン)が提供する徘徊防止システムを搭載したPepperを試験導入した。 出入り口に設置する