事件の発覚から半年ほどがたった、ことし6月。 私は少し緊張しながら、現場の一軒家の前に立っていた。 テレビの音が外にも漏れ伝わってくる。 どうやら在宅のようだ。 おそるおそるインターホンを押すと、Tシャツ姿の息子が出てきた。 高齢の父親の遺体を6年間自宅に放置した罪などに問われ、執行猶予付きの有罪判決を受けた息子に初めて会った瞬間だった。 (金沢放送局 竹村雅志) 薄暗く、ほこりが舞う玄関先。 「裁判を取材していて、あなたにも気の毒な事情があったのではないかと思いました。話を聞かせていただけませんか」 私は突然の訪問の趣旨を伝えた。 55歳の息子は少し驚いたような様子だったが、しばらく話を続けると「まあ、汚いですが」と言い招き入れてくれた。