本年4月、松山地方裁判所において、保存期間5年を経過し既に廃棄したとされていた「愛媛玉串料訴訟」(1997年4月2日最高裁判所大法廷判決)の事件記録が保存されていることが判明した。 これは、最高裁判所が、事件記録等保存規程(以下「保存規程」という。)第9条第2項に規定する民事訴訟記録の特別保存(以下「2項特別保存」という。)に関して、東京地方裁判所の運用要領(2020年2月18日)を参考例として全国の裁判所に周知したことがきっかけであった。 2項特別保存は、史料又は参考資料となるべき記録又は事件書類を保存期間満了後も保存する制度で、保存規程の運用通達において、重要な憲法判断が示された事件、法令の解釈運用上特に参考になる判断が示された事件、世相を反映した事件で史料的価値が高いもの、全国的に社会の耳目を集めた事件又は当該地方における特殊な意義を有する事件で特に重要なものなどが対象になるとされて