NATO(北大西洋条約機構)が創設六十周年を迎えて首脳会議を開きました。米国の一国覇権主義の破たんが鮮明になり、国際協調をうたうオバマ米政権が登場したことで、NATOは当面、米欧の「亀裂」を取り繕ったかにみえます。しかし、「核と通常戦力にもとづく抑止力を戦略全体の中核要素」とする軍事同盟は、その存在を合理化できないままです。 増派要請は空振り 首脳会議の焦点がオバマ政権が発表したアフガニスタン問題の新戦略です。軍事一辺倒で「勝利」できないことが明らかになる中、アフガン国民の支持獲得や地域的・包括的な取り組みが重要だとして、軍事・民生の両面で関与を強めようというものです。 欧州諸国は歓迎を表明しながらも、米側の期待に反して増派には消極的です。応じた一部の国も八月のアフガン大統領選挙まで、目的も治安部隊の訓練などと役割を限定しています。欧州各国に高まるアフガン戦争への批判が反映しています。 イ