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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/reizei (45)

  • 「ディーゼル特急を守れ」、JR北海道のギリギリの闘い

    ここニュージャージー州をはじめ、ニューヨークからマサチューセッツなどの米国北東部では、夏というのは道路工事の季節です。あちこちで、路面をはがして再舗装する作業が続いています。というのも、12月から1月には大雪が降ったり、気温が摂氏で氷点下10度を下回る中で、路面が凍結を繰り返す中で数年で舗装がガタガタになってしまうからです。 そうした工事区間を通りながら、私はJR北海道のことを考えていました。実はJR北海道が現在置かれている苦境というのは、ここ米国東北部のガタガタの路面と、ある意味で重なるものがあるからです。 そのJR北海道の特急列車では、ここ数年、発煙や発火の事故が多数発生していることから、11月にはダイヤ改正を行って、特急の最高速度を時速130キロから110キロに減速するという発表がされました。 日の鉄道技術、特に安全対策は世界最高水準であるのに、どうして北海道だけ事故が頻発するので

  • アメリカはどうしてシリア攻撃に踏み切ろうとしているのか?

    先週21日に「アサド政権は自国の反政府勢力に対して化学兵器を使用した」というニュースが報じられたのを受けて「シリアへの介入論」が高まっています。今日(8月29日)から翌30日にかけて、アメリカが攻撃を開始するという説も相当に濃厚になっているようです。 アメリカは、アフガンとイラクの戦争で大苦戦を強いられると共に、国が大きく傾くほどの経済的なダメージを受けました。これを受けて、国民の間には強い厭戦気分があります。また、9・11以降続いていた、自国の安全のためには手段を選ばずという能的な心理も消えています。 何よりも現在のアメリカは2008年9月の「リーマン・ショック」以来の不況をようやく脱しつつある中で、「軍事費を聖域とはせず」という方針で国家財政の健全化に取り組んでいる最中でもあります。 そうした時代の流れの中で、アメリカの世論は今回の「シリア攻撃」を支持はしていません。一部の調査によれ

  • 松井秀喜氏はどうしてヤンキースタジアムを総立ちにさせたのか?

    考えてみれば不思議です。日でのキャリアはともかく、アメリカではヤンキース一筋というわけではありませんでした。ヤンキースの後、エンゼルス、アスレチックス、レイズと複数の球団を渡り歩いて引退したのであって、松井氏は引退の時点ではヤンキースのメンバーではなかったのです。 にもかかわらず、7月28日の日曜日、ニューヨーク・ヤンキースは松井氏と「ワンデイ・コントラクト」つまり一日だけの契約を交わすと共に、ヤンキースタジアムに登場して「引退セレモニー」を行いました。球団は、この日のことを相当に前に決定していたようで、「7月28日に球場に行くと、ヒデキ・マツイの首振り人形がもらえる」というキャンペーンについては、シーズンの相当初期に発表していたのです。 ヤンキースの独占中継局であるYESネットワークによれば、合同記者会見の席上で、ブライアン・キャッシュマンGM(ゼネラルマネジャー)が挨拶をしたのと同時

  • 映画『風立ちぬ』のヒロインが「菜穂子」である理由

    宮崎駿氏の最新作『風立ちぬ』を見ました(以降は、ストーリー上の「ネタバレ」に触れている箇所もありますので、気になる方は映画を先にご覧になることをお勧めします)。 まず、零式戦闘機(通称「零戦」)の設計者である堀越二郎については、飛行機への思い一筋に生きた姿がアニメ一筋に生きた宮崎氏自身の生き方と重なって説得力がありました。戦争の問題については、控えめな表現ですが「国を滅ぼしてしまった」「(零戦は)一機も帰って来なかった」という台詞が全てを語っているように思います。 色々な議論が可能と思います。ですが、亡国に至った戦争は否定するが、資源の物量を技術力で補って究極の抑止力を目指した零戦開発の努力までは否定しないという宮崎氏の立場について、私は納得させられたということは申し上げておこうと思います。 ところで、この作品ですが、その堀越二郎の「零戦開発奮闘記」というストーリーに、堀辰雄の小説『風立ち

  • 「橋下発言」はアメリカからどう見えるか

    所用でニュージャージー州外に行っていたのですが、その間にこの問題がどんどん拡大していたのには驚きました。現在の事態は、この欄で過去に申し上げた「管理売春は現代の基準では性奴隷」という指摘、また「国境を越えたコミュニケーションでは理念型の発信しか通用しない」というコメントが生かされなかった点、何とも残念に思います。以下は、とりあえず、現時点で気づいたことを箇条書きにしておこうと思います。 (1)アメリカなど欧米諸国はキリスト教国だから性的なタブーの強い「偽善的な国」だという主張があります。もしかしたら問題の奥の背景にはそうした宗教やカルチャーもあるのかもしれません。ですが、アメリカがいい例ですが、買春行為に対して社会が厳しい目で見ているのは宗教や文化のためではないと思います。核家族のイデオロギーが確立する中で、買春行為というのは、と子への裏切りであり、社会の最小単位である核家族を破壊し、自

  • 政治家の「外遊中の失言」はどうして「マズイ」のか?

    少し以前の話になりますが、猪瀬直樹東京都知事の「イスラム世界はケンカばかり」という失言には驚かされました。同時に、先週に飛び出した麻生太郎副総理兼財務相の「中国とスムーズに行った歴史はない」という発言も、同じように「行き当たりばったり」と言わざるを得ません。 麻生発言に関しては、もしかしたら「中国の反応を試す」という外交上の目的があった可能性も数パーセントあるのかもしれませんが、仮にそうであっても「1500年間の日中関係がずっとダメだった」というのは、トンデモ発言であることには変わりはありません。 それにしても、どうして政治家が「外遊」するとこの種の失言が起きてしまうのでしょう? またどうして、この種の発言は「マズイ」のでしょう? どうしてマズイのかということでは、それぞれに理由は明らかです。猪瀬発言に関しては後日に安倍首相の「フォロー」が必要になるほどに「東京五輪招致」における対外的イメ

  • 「日本は年内破綻も」という藤巻健史氏、「破綻は早いほうがまし」というのは本当か?

    1月15日に米ブルームバーグが配信した藤巻健史(フジマキ・ジャパン社長)の発言「安倍政権の景気刺激策は日のデフォルトを招きかねない」というのは、例によって刺激的な内容でした。同氏は、昨年の5月にも、「日は最短5年で破綻」という発言を行なっており、この欄でも論評しています。 藤巻氏の主張の中心である「円安政策は間違いではないが、景気刺激の財政出動は全くの誤り」という指摘に関しては、私も同じ危機感を持っています。ただ、議論が分かれるのは同氏の言う「日はどうせ破綻するのだから破綻は早い方がいい」という点、そして「どう考えても返せない借金がハイパーインフレでチャラになるのなら若年層からすればメリットがある」という部分でしょう。 当にそうなのでしょうか? 私は違うと思います。まず「早いほうがまし」という点ですが、確かにこのまま少子高齢化が進行して「どうしようもなく労働人口が少ない」とか「産業

  • 従軍慰安婦問題、いわゆる「河野談話」の訂正は可能か?

    安倍政権がいわゆる従軍慰安婦問題に関して、「軍の強制連行があった」とする「河野談話」を見直すかもしれないという報道に関しては、韓国だけでなくアメリカの政界やジャーナリズムによる関心も高まっています。 この問題に関する事実関係に関しては、私は池田信夫氏が様々な史料を参照しながら丹念に調査を続けて来た結論、つまり「軍による強制連行はなかった」という立場を取ります。 では、問題になっている河野談話を訂正すればいいと考えるのかというと、こちらはそうは簡単ではないと考えます。この点に関しては、日の政界や世論には根的な誤解があり、注意深い議論をしないと、日の国益を大きく損なう危険があるからです。 誤解というのは、「軍による強制連行はなかった」という訂正に成功したとしても、全く「日の名誉回復にはならない」ということです。一言で言えば「強制連行はしなかったが、管理売春目的の人身売買は行なっていた」

  • 右派政権の方が国際協調が進むというパラドックス

    26日に発足する安倍政権のイデオロギーについては、「戦後レジームからの脱却」であるとか「改憲」といった右派的なものがあるのは明らかです。今回の総選挙の結果も、そうしたイデオロギーの匂いへの漠然とした承認と我慢というのが一応は前提になっていると言って良いでしょう。 民主党政権に比べるとイデオロギー的に相当に右に寄っている印象の次期安倍政権ですが、それでは、問題になっている中国韓国との関係は、更に日側として強硬になり、対立がエスカレートするのでしょうか? どうも違うようです。 少なくとも、韓国に関しては朴槿恵(パク・クンヘ)次期大統領との「新政権同士」での「関係改善」が模索されるというのは既定路線になってきているようです。懸念された、韓国の新大統領就任式(2月25日)の直前にカレンダー上「竹島の日(2月22日)」が避けて通れないという問題も、今年については、この「竹島の日」の行事をトーンダ

  • 「夜も眠れない」青函トンネルの新幹線通過問題

    別に騒音で眠れないのではありません。その昔、夫婦漫才の春日三球・照代さんが「地下鉄が新しくできるときに、車両をどうやって入れるのかを考えると夜も眠れない」というネタで有名になりましたが、この問題はそれ以上に複雑だからです。 私はアメリカに住んでいるのですが、そのためもあって日の鉄道システムへの愛着の念は並々ならぬものがあり、不肖ながら鉄道評論というものに手を染めております。とは言っても「消えゆく車両に別れを惜しむ」的なセンチメンタルな趣味はあまりなく、鉄道模型や鉄道写真に凝っているわけでもありません。 ですが「鉄屋」であることは間違いなく、あえてカテゴリを分ければ「安鉄(アンテツ)」つまり、鉄道の安全技術が主要な関心分野です。その方面に関しては、JRなどの専門家からも評価をいただいていますが、何と言っても変化する日の社会経済情勢の下で「鉄道を守り、鉄道の安全技術を磨く」という問題を追い

  • 日本の対立軸にはどうして「経済合理性+国際協調」という選択肢がないのか?

    今回の衆院選は、多数の政党が登場しています。勿論、乱立だとか混乱だという形容は当たっているのですが、少なくとも選択肢は増えたというメリットはありそうです。ところが、どうしたものか21世紀の現在において、最も重要で現実的だと思われる選択肢が見事に欠落しているのも事実です。 それは「経済合理性と国際協調を同時に重視する」という立場です。 この選択肢がないのです。例えば今回の党首討論でもニコニコ動画では10、記者クラブ主催のものでは11も政党があるのに、見事なまでにない。これは当に困ります。例を挙げればキリがありませんが、 ----安倍自民党は軍事外交では親米で、ビジネスにはフレンドリーなのかもしれませんが、靖国参拝とか国防軍といった右派イデオロギーがどうしてもセット定で付いてくるわけです。これでは、自由世界での友人を作るといっても大きな限界があります。 ----野田民主党は、その点ではやや

  • どうして日本は6年間に6人の総理を取り替えたのか?

    今回『チェンジはどこへ消えたか オーラをなくしたオバマの試練』というを出版しました。2008年には「チェンジ」であるとか「イエス・ウィ・キャン」といったメッセージで全米を席巻し、2009年に就任すると「核廃絶のプラハ演説」や「カイロでのイスラムとの和解演説」などを評価されてノーベル平和賞を受賞したオバマですが、結局は1期目の4年間では「チェンジ」はできなかったのです。 その「結果」は世論にある種の落胆を感じさせました。ですが、それでもオバマは再選されたわけで、その理由を探る中から「向こう4年間」のアメリカの進路を読者の皆さまとご一緒に考えていきたい、それがこのの主旨です。 それにしても、アメリカの失業率は辛うじて8%を切ったばかりで、景気の戻りには強さは全くないわけです。また若者の雇用に関しては依然として状況は厳しく、このの中でも取り上げましたが「ウォール街占拠デモ」というのは「深層

  • 安倍自民党の「インフレターゲット論」3つの問題点

    3%というターゲットを設定した上で、インフレが進行するように金融緩和を思い切り行う、そうしてデフレを脱却し超円高を是正して成長トレンドを回復するという政策については、ここ1年ぐらい安倍晋三氏はかなり熱心に語ってきています。ですから気といえば気なのでしょうが、総選挙を前にしてここまでハッキリと政策として掲げてくるとは思いませんでした。 結論から言えば、3つの問題点があるように思います。 まず、外部環境がこの年末から年明けにかけて変化しつつあるという点です。例えばアメリカの場合は、これまでのFRB(連邦準備制度理事会)やオバマ政権は「QE(量的緩和)1からQE3」によってジャブジャブとドルをばらまいてきたわけです。その結果としてのドル安も容認し、ドル安による多国籍企業のドルベースでの利益の極大化というメリットも享受してきました。 この問題に関しては、大統領選の争点になっていました。オバマに

  • さかもと未明氏の「機内で泣く幼児にブチ切れ」コメントをどう考えるか?

    漫画家のさかもと未明氏が、月刊誌「VOICE」2012年12月号に掲載したコメントは同誌発行元のウェブサイト「衆知」で公開されていることもあって話題になっています。 さかもと氏は、今年の夏に国内線の航空機に搭乗したところ、「赤ちゃんが泣き叫び通しだったのにブチ切れてしまったのだ。だって、客室乗務員さんが母親と一緒にあやしても泣きやむ気配はないし、逃げ込む場所もないんだもん。」という経験をしたのだそうです。 その場の状況ですが「その赤ちゃんは、たぶん1歳くらい。どうしてそんな体力が、と思うくらいに離陸から泣き叫び通しだった。(中略)お母さんもどうにもできなくてホトホト困っているのがわかる。ほかのお客さんも「言い聞かせてなんとかなる年齢ではないし、仕方ない」と思っているみたい。」だったそうです。 さかもと氏は「でも、私は耐えられなかった。「もうやだ、降りる、飛び降りる!」」ということで、「着陸

  • 3分で終わる核武装論議 | プリンストン発 新潮流アメリカ | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    その昔、亡くなった自民党政治家、中川昭一氏が2006~09年にかけて「核武装論議をタブー視するな」という発言をした頃には、ずいぶんと賛否両論が激しかったのを記憶しています。その中川氏は「最近は、非核三原則に『言わせず』を加えた非核四原則どころか、『考えてもいけない』という非核五原則だ」と強く反発していましたが、今ではこうしたタブー視に関してはかなり緩んでいるように思われます。 今回の総選挙で、何らかの話題になりそうな「第三極」においても、石原前都知事は日の核武装論について従来から放言を繰り返していますし、最近はこの問題に慎重な橋下大阪市長も「議論は歓迎」という立場のようです。 漠然としたムードとしては、仮に米国が何らかの理由でアジアにおける軍事プレゼンスを軽減していった場合には、日は「自主防衛」をすることになり、その際に中国の核攻撃能力を抑止するためには、日は核武装の可能性を否定す

  • 株が20%暴騰するような好決算がどうしてネガティブ報道になるのか?

    アメリカのフェイスブック社は23日(火)の時間外に第3四半期(Q3)決算を発表しました。内容は、売上が12億6000万ドルで前年比32%アップ、また「PCからスマホへのユーザーの移動」による業績低迷懸念に対して、モバイル関連の売上の伸びもアナリスト予測を突破したということで、市場はこれを好感し、翌日の同社株はほぼ前日比20%アップで推移して、終値も19.1%アップで引けています。 この大型株が一日で20%アップというのは「暴騰」と言っていいでしょう。市場がいかに好感したかは明白です。ですが、この同じ決算について、日での報道は奇妙でした。以下、電子版ニュースの見出しを並べてみます。(順不同) 「米フェイスブック、5900万ドル赤字 7~9月期決算」(朝日新聞) 「フェイスブックが赤字決算 7~9月期、2四半期連続」(北海道新聞) 「フェイスブック 赤字決算 2四半期連続で」(スポーツニッポ

  • 中国の「反日暴動」がアメリカでほとんど報道されない理由とは?

    先週末から今週はじめにかけて、中国の各地では反日を表面的なスローガンにした一種の「反秩序暴動」がエスカレートしているわけですが、アメリカではこのニュース、驚くほど小さな扱いとなっています。例えば、暴動が格化した直後の16日の日曜日には、ニューヨークタイムス、CNNといったメディアでの扱いはほとんど「ゼロ」でした。 週明けの月曜になって、少し報道が出始めていますが、例えば中国にあるパナソニックの工場が操業停止しているなどといった「経済記事」的な扱いが主で、それに「在北京日大使館」に卵が投げつけられたなどの報道が加わっているだけです。実際に起きている、大規模な破壊行動については、一切伝えられていないと言ってもいいと思います。 私は各メディアの内情を知る立場にはないので、あくまで憶測に過ぎませんが、そこにはある種の「配慮」が感じられます。では、仮に「中国への配慮」があるとして、そこにはどんな

  • 共和党大会に登場したクリント・イーストウッド、賛否両論の背景とは?

    フロリダ州のタンパで先週行われた共和党大会では、ミット・ロムニー候補が受諾演説を行い10万個という風船と紙吹雪の舞う中で、オバマの2期目当選を阻止しようと、党としての団結をアピールしていました。ただ、この党大会で最も話題を呼んだのは、ロムニー候補人ではありませんでした。 最も話題になったのは、その最終日の8月30日、それこそロムニー候補の演説の直前に登場したハリウッドを代表する監督兼俳優のクリント・イーストウッドの「スピーチ」でした。大会が終わり、人々の関心が翌週の民主党大会に移りつつあるこの週末も、まだネットメディアなどを中心に賛否両論が続いています。 クリント・イーストウッドの作品を見たことがある人なら、そこある強烈な「正義感」とか、その延長での「弱者への誠実な視線」あるいは「腐敗した権力への厳しい眼差し」を感じると思います。一見すると、その「思想」はリベラルの側に属するようにも見え

  • 「和解」を困難にする「謝罪外交」は見直す時期ではないのか?

    どうして中国韓国の世論は、日に対して領土ナショナリズムによる攻勢をかけてくるのでしょうか? それは、中国側から見た日韓国から見た日というのは他の二国間関係とは異なり、第2次世界大戦の終結以降も、正常な関係が持てていないからです。 正常でないというのは、日が常に謝罪要求の対象だということです。これは、二国間関係としては異常です。では、どうして日と周辺国との間には、こうした異常な関係が続いているのでしょうか? まず、中国韓国は、日の「国体=国のかたち」が戦前戦後を通じて一貫していると考えています。戦前の国体が「護持される」ということが、戦争終結の条件として連合国に認められた以上、国体の一貫性は明白であり、したがって現在の日の国体は過去の責任を継承しており、すなわち謝罪の主体となるという考え方です。 これに対して、日の世論の半分は同調していると言っていいでしょう。「日国は

  • 鴻海精密によるシャープ買収をどう考えるのか?

    それにしても、このニュースの伝わり方がそもそも気に入りません。まず、資提携だとか苦渋の選択だという見出しで「ボカして」いますが、実質的には台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループによるシャープの買収であり、日の大規模なエレクトロニクスメーカーの一角が、外資の軍門に降ることを意味します。 鴻海は、まずシャープ体の筆頭株主になる(報道によれば比率約10%)ことに加えて、主力の液晶事業の中でも重要なカラーフィルター技術を保有した堺工場は、子会社のSDPに移管した上で鴻海のオーナーや関連会社が46.5%を支配するというのです。SDPに関しては、シャープ体が46・5%、鴻海側が46・5%という報道資料もありますが、シャープ体については10%弱を鴻海が持つのですから、実質はSDPの51・2%は鴻海のものになります。 こうした買収劇を「資提携」とか「共存共栄策」などという曖昧な言い方で報道する