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ブックマーク / jun-jun1965.hatenablog.com (116)

  • SFと私小説 - jun-jun1965の日記

    古い記録を見ていて、大学一年の頃、ブライアン・オールディスの『手で育てられた少年』というのを読んだことを思い出した。この題名は要するにオナニーのことで、しかし別に面白くはなかった。確か『幻想文学』で書評されていたので読んだのだろう。 SFと私小説というと対極にあるように見えて、存外そうでもない、新井素子なんかもろに私小説を書くし、吾ひでおもそうだし、「ソラリス」なんて一種の私小説、とか書こうとしたのだが、別にそれを言ったら大衆作家がふと私小説を書くというのはよくあることだし、いま挙げた例はあまりに恣意的かつ少ないし、どうせ究極のアウタースペースとインナースペースが一致するとかそういう話になるのは見え見えだし、バカバカしいので書くのをやめた。これは捨てネタである。 - 『小説トリッパー』で小沢自然が小野正嗣の小説書評しているんだが、それって明らかに仲間褒めじゃないか。小沢よ、そういうこと

    SFと私小説 - jun-jun1965の日記
    kanimaster
    kanimaster 2009/09/16
    「どうせ究極のアウタースペースとインナースペースが一致するとかそういう話になるのは見え見えだし、バカバカしいので書くのをやめた。」
  • 坂さんはいずこに - jun-jun1965の日記

    私は大学に入った当座は、月三万円くらいの小遣いをもらい、自宅から大学に通っていた。しかし、同じクラスの、当時好きだった女の子が、早くに父親を亡くして、姉とともに看護婦の母親に育てられ、あちこちから奨学金を貰って大学へ来ていると知った(なおクラス内での雑談の最中、「ええーっ、××さん、仕送りいくらなの?」と訊かれ、彼女は「仕送り、ゼロ」と言い、留年していて年もいっているだろうに、世の中にはいろいろな人がいることも知らない医者の息子のこのバカ男が「ええーっ、ゼロ?」などと騒いだから、先述のNが、まあまあ、それは、と押し留めたことがあった。なおこのバカ男はテストが近くなると病みついてしまうという奴で、その年さらに留年し、のち文学部へ進学したらしいが、消息不明である)。 で彼女は大学そばの喫茶店でウェイトレスのアルバイトをしていて、感動した私は小遣いを断わり、学生課へ行ってアルバイトを探し、前に触

    坂さんはいずこに - jun-jun1965の日記
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    kanimaster 2009/09/14
     「…女を知らなくても文学って分かるもんでしょうか」
  • 御用と御急ぎでない方は - jun-jun1965の日記

    自費出版といえど、掘り出しものがあるかもしれない。そう思って入手したのが、「×葉×子」の「彼は十二歳年下」というであるが、宣伝文から分かるとおり著者は既に一冊、有名な出版社からを出している。そして今回のは、暴力をふるう夫との結婚から離婚までの記録、といおうか。 しかし読み始めて私はぎょっとした。この著者は精神を病んでいる。確かに悲惨な結婚生活だったのは分かるが、著者自身の行動やその説明があまりにおかしいのである。そして「十二歳年下の彼」というのは、夫と別れて出会い一緒になった愛人ではなくて、最初のの担当編集者であり、なぜか彼の指令でホテルの部屋を予約した、ということになっている。が彼はホテルへは来ないのである。プラトニックであると説明されていて、それきりである。なぜホテルを予約させたのかは、分からない。 自費出版の世界は怖いが、それにしても、こういう精神を病んだ人の手記を刊行してしま

    御用と御急ぎでない方は - jun-jun1965の日記
    kanimaster
    kanimaster 2009/09/11
    『彼は二十一歳年下』じゃないかな?
  • ミラーマン対シルバー仮面 - jun-jun1965の日記

    最近、『シルバー仮面』のDVDを観ている。私の世代の男子の多くは、ミラーマンとシルバー仮面という、日曜七時という同じ時間帯に放送されたうち、『ミラーマン』を選んだだろう。1971年1月に『宇宙猿人ゴリ』が始まって以来の第二次怪獣ブームは、一年をへずして、二作の競合という事態を生み、翌年四月には『ウルトラマンA』の裏番組に『変身忍者嵐』をやるという状況を招く。この場合ももちろん私は大多数と同じように『A』を観たわけだが、たぶんテレビ局的に、裏へぶつけろといった命令が下るのだろうが、観る側からすると迷惑である。何しろビデオもない当時で、テレビは一家に一台が普通だった。もう、どっちかを選ばなければならないのである。 あとになって「シルバー」は再放送で観たが、今回きちんと観てみて、渋いし、大人の鑑賞に堪えるドラマが、佐々木守、市川森一、上原正三らによって作られていると感じはしたが、わずか11話で「

    ミラーマン対シルバー仮面 - jun-jun1965の日記
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    kanimaster 2009/09/04
    71年は暗かった。たしかに。
  • 2009-09-04

    正岡子規の『墨汁一滴』には、明白な被差別民に対する差別的な句が載せられている。 「鶴の巣や場所もあらうに穢多の家」 という。 青空文庫では、 http://www.aozora.gr.jp/cards/000305/card1897.html 「この作品には、今日からみれば、不適切と受け取られる可能性のある表現がみられます。その旨をここに記載した上で、そのままの形で作品を公開します。(青空文庫) この作品には、被差別部落民に対する蔑称が用いられています。その旨をここに記載した上で、そのままの形で作品を公開します。(青空文庫)」 とある。しかし岩波文庫では、さらに厳重な但し書きがつけられている。 「不適切と受け取られる可能性のある」どころか、明白な差別であり、「蔑称」の問題ではなくて差別そのものである。青空文庫の但し書きは十分とは言えない。そこはさすがに岩波のほうが厳密で、これが差別そのもの

    2009-09-04
    kanimaster
    kanimaster 2009/09/04
    逆にいうと、藤村はきわめて進歩的だったということにもなりますね。
  • 意地悪 - 猫を償うに猫をもってせよ

    書評というのはつらい仕事である。仮に自分でを選べるとしても、一ヶ月から三カ月のスパンでいいを見つけ出すのはかなり困難で、普通にを読んでいていいだなと思っても十年くらい前のだったりするし、ではそれが出た時に見つけられるかというとそれもけっこう難しい。新聞の書評委員会というのはどういうものか知らないが、そこへ行くと近刊がぞろぞろ机の上に積まれてあったりするのだろうか。 - 小林秀雄賞は予想通り水村美苗である。この賞は岩井克人も、とうてい文藝評論とはいえないでとっているから、夫婦受賞である。何か人脈がありそうだ。しかしなんだか刊行当時から、小林賞をとると噂されていたが…。 内容にはもちろん異論があるが、水村はこれまで出した単著がすべて賞をとっている。四点で受賞率100%である。賞というのは、売れない人を励ますという意味もあるから、こういうのは何だか盗人に追い銭じゃないが、金持ちに献金

    意地悪 - 猫を償うに猫をもってせよ
    kanimaster
    kanimaster 2009/08/29
    「水村はこれまで出した単著がすべて賞をとっている。四点で受賞率100%である。」
  • 芥川賞直木賞贈呈式 - jun-jun1965の日記

    芥川賞・直木賞の贈呈式に行ってきた。他の文学賞は割とほいほい招待状が来るのだが、これだけは今回が初めてで、それはたぶん北村さんが招待者に入れてくれたからで、たぶん今後このような機会があるとは思われないので話の種に。 えらく来賓が多いのは当然として妙にビジネスマン風の人が多く、出版業界の重役さんかなあと思っていたら、磯崎憲一郎の会社から80人来ているというので驚いた。エリート会社員というのはそんなに多くの人とつきあいがあるのか。 前方左手には「磯崎家」「北村家」と書かれたテーブルがあって、まるで披露宴のようだ。モブ・ノリオの時は「モブ家」だったのだろうか。だいたい北村さんって名じゃないし。 そこで見るとどうやら磯崎父らしき老人がいて、磯崎新ではなかった。しかし65年生まれの長男の父にしては70代後半に見えた。 選考委員の挨拶は黒井千次と北方謙三。黒井は自分も会社員作家だったから、もし五年後

    芥川賞直木賞贈呈式 - jun-jun1965の日記
    kanimaster
    kanimaster 2009/08/22
    “前方左手には「磯崎家」「北村家」と書かれたテーブルがあって、まるで披露宴のようだ。モブ・ノリオの時は「モブ家」だったのだろうか。”
  • 明治の暗さ  - jun-jun1965の日記

    新田次郎『八甲田山死の彷徨』の新潮文庫版の山健吉の解説が、高橋誠一郎の「明治というとよい時代のように言う人がいるが私の印象では暗い時代だった」という言を引いて同意していて、私ははたと膝を打った。 私もそう思う。テレビドラマなどは、中産階級以上の明るい面を強調しすぎている。これは明治に限らずそれ以後でもそうだ。 それでふと思ったのは石光真清の手記で、私はあれがそんなに面白いとは思えない。文章だって息子が直しているし。「近代の暗部」とかいうのだが、近代を明るいと思っていなければ「暗部」も何もなくて、あんなもんでしょうと。 じゃあお江戸が良かったかと言えばとんでもない。要するに「いい時代」なんて存在しないのである。 - ほぼ毎週恒例の東浩紀批判です。 『週刊朝日』今週号で東は、今年から熊野大学を若い連中でやることにしたと書いている。東、市川真人、中上紀が中心になってやったがつまらなかった。これ

    明治の暗さ  - jun-jun1965の日記
    kanimaster
    kanimaster 2009/08/18
    “じゃあお江戸が良かったかと言えばとんでもない。要するに「いい時代」なんて存在しないのである。”
  • ビルドゥングスロマン? - jun-jun1965の日記

    大学生のころ、児童文学のサークルで『ガンダム』の話をしていて、私が、いやあほかの男を好きになっているミライさんを見守るブライトがいいですねえ、と言ったら、某先輩があははと笑って「ブライトが一番成長してないじゃない」と言ったので、ほお、と思った。 主人公が作中で「成長」するのを、ドイツではビルドゥングスロマンといい、日教養小説などと訳されるがこの訳は変で「成長小説」とでもしたほうがいいだろう。 しかし「大正教養主義」とかいってバカにされるように、この理念は概して古いとされているのだが、小説であれドラマであれ、作中人物に「成長」を求める人は、一般人はもとより、文学研究者の中にもけっこうな数いる。実にふしぎでならない。たぶん、文学のよく分かっていない高校教師あたりが教えるのだろう。まあしかしその背後には依然としてヘーゲル的、明治的な立身出世主義とか、近代の前へ前へ主義とかいうものがごてごてと

    ビルドゥングスロマン? - jun-jun1965の日記
    kanimaster
    kanimaster 2009/08/18
    猫猫先生が泉鏡花の評伝を書いたら買いますよ。
  • 雉も鳴かずば - jun-jun1965の日記

    『週刊朝日』と『文學界』の連載のおかげで、東浩紀ってのはアニメとゲーム以外に碌な教養がないということが分かってきた。今月の『文學界』なんて、まるで修士課程の院生のレポートだ。「アウシュヴィッツのあとで詩を語るのは野蛮である」なんて、性格の悪いアドルノの思いつきでしかないだろう。『啓蒙の弁証法』なんてのもインチキで、いくら教育したってバカはバカってことでしかない。 だいたいヘーゲルからして出鱈目なんだからね。東の文章を見ていると、ああ留学したことがない奴だなというのがよく分かる。「スタンフォード日センター」って別にスタンフォードにあるわけじゃなくて京都にある。 - これも東が言いだしたのじゃないかと思うが、「顕名」ってまあもとは法律用語を「匿名」とは違うものとして言うのだが、そりゃ十分に匿名の一種である。 筆名というのもあるが、じゃあ「狐」が筆名だと主張したら? 「東川端三丁目」なんてすで

    雉も鳴かずば - jun-jun1965の日記
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    kanimaster 2009/08/08
    『新・坊っちゃん』の主演は柴俊夫。下條アトムの野だいこが最高でした。
  • ある種の愚かさについて - jun-jun1965の日記

    『ノルウェイの森』がベストセラーになったから自分は攻撃されるようになったと村上春樹が言っていると目にしたような気がするが、まあそれはそうだろう。『失楽園』がベストセラーになってから、渡辺淳一をバカにしてもいいという空気が醸成されて、渡辺がエロティックな小説を出して売れるたんびにそれが増幅されていく。 『失楽園』は私は少ししか読んでいないし、あとのは全然読んでいない。もちろん渡辺にはそれ以前に伝記小説のいいものなどたくさんあるが、『野わき』などから、中年男と若い女の性愛を描く傾向はあった。だから『野わき』当時渡辺を批判していた人はいいのだが、もはや現在、これほど「渡辺淳一はバカにしてもいい」という空気が支配している中でせっせと渡辺淳一をバカにしようとするのは、ある種の愚かさなのである。 それは『失楽園』やら『愛の流刑地』がいいかどうかとは関係なく、「××をバカにしてもいい」という空気が充満し

    ある種の愚かさについて - jun-jun1965の日記
  • 18歳なら良かったんかいアグネス! - jun-jun1965の日記

    『週刊SPA!』が「児童ポルノバカ発言」とかいう特集だったのでちょっと覗いた。アグネス・チャンが出ていたが、妙に記事がアグネスに甘いのは、そうでないと取材に応じてもらえないからだろうが、17歳の時水着写真を撮られて嫌だったと言うアグネスの気持も理解できると。じゃあ何か、18歳なら良かったんかいアグネス! この世に、18歳以上で風俗店で働いていて、当は嫌だという女なぞいくらもいる。18を超えたら嫌でも我慢しろというのかアグネス。むしろ、あらゆるヌード写真を撲滅しろ、というのがアグネスの音なのだろう。 それと、児童ポルノの80%は3歳以下だというアグネス発言で、記事では信用できないとされているが、仮にそれが当だとして、だから18歳未満のヌードはいかんというのは全然論理性がない。それではまるで、ユダヤ人の8割は悪質な高利貸だから、ユダヤ人は虐殺してもいい、というのと同じではないか。 最後に

    18歳なら良かったんかいアグネス! - jun-jun1965の日記
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    kanimaster 2009/07/21
    「この一派は、絵を守るために写真を犠牲にしようとしている。」
  • どうでもいい話 - jun-jun1965の日記

    野口雨情の「赤い」は、当はからゆきさんとして売られていったのだ、という話は聞いたことがあった。横浜の山下公園には、それとは関係なく、虚構的存在として銅像が建っている。 ところが最近では、これにはキミちゃんというモデルになった女の子がいて、麻布十番あたりにその銅像が建っているという。 なんでも、1978年に北海道テレビで、そのモデル少女に関するドキュメンタリーが放送されて、プロデューサーだった菊地寛という人が『赤いはいてた女の子』というを書いているという。 それによると、1973年、岡そのという60歳の女性が「北海道新聞」に、「赤い」の女の子は、自分が生まれる前に死んだ異父姉のきみのことだとして投書して、学藝欄に掲載されたのが発端だという。そこから調査をしたら、きみはヒュイットという宣教師の養女になったが、病弱なため東京の孤児院に入れられ、渡米せぬまま9歳で死んだという。 どうやら

    どうでもいい話 - jun-jun1965の日記
    kanimaster
    kanimaster 2009/07/15
    「赤い靴」のモデルについて。
  • リダイヤル - jun-jun1965の日記

    はストーカーに殺された』というがある。福岡のほうで、1997年10月28日、大学生が家に押し入り、著者のと母に包丁で切り付け、二人とも死に、しかし心神喪失状態だったため不起訴となった事件の、遺族が書いたものである。私はこのを、書店か図書館で立ち読みしていて、ふと引っかかったことがある。 犯人は当時21歳、長女の高校時代の同級生で、その二月ころから、家に石を投げたり、無言電話がかかってきたりしていた。家側では、この男ではないかと目星をつけていろいろ調べていたが、ある時、電話のあとで「リダイヤル」するとその男が出た、と書いてあったのである。 リダイヤルして掛かったなら、誰かがその直前にその家からその男に電話したことになる。もう8、9年前になろうか、私はこれが引っ掛かり、この事件を担当していた現地の新聞記者に電話を掛けて聞いてみた。すると「いや、電話番号表示とか、じゃないですか」と言い

    リダイヤル - jun-jun1965の日記
  • 死の絶対性 - jun-jun1965の日記

    (下書きにはタイトルの欄があるのだが、アップした時にタイトルにならないから、書いておいても無駄だと気づいた) http://blog.goo.ne.jp/ayakashi1154/e/195334f067cded01ed5ca970d9cce58b 田中貴子が切れているからご注意、と稲賀さんから葉書をもらったところだった。たぶん私のことだろう。(××さんだそうだが、まあそれはいい) 面識もない人にいちいち「亡くなった」などと書く偽善が、私は嫌いである。むろん、その作家が好きだったとかいうならいいけれど、どうせその人のことを碌に知らないニュースキャスターあたりが「ご冥福をお祈りします」などと言うのを聞くとムカムカする(まあ最近はニュース番組など見ないけれど)。 私が、他人の死をめぐる偽善ときっぱり手を切ったある事件については、「ミゼラブル・ハイスクール1978」に書いてある(なお、これは単行

    死の絶対性 - jun-jun1965の日記
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    kanimaster 2009/06/28
    「母が死んで一年半たった今、母が死んだことを思い出さない日はない。ほとんど生き地獄である。母の死の前と後とで、私の人生は二分されている。」
  • 小堀桂一郎の川端嫌い - jun-jun1965の日記

    (活字化のため削除) - 1931年生まれの医者から、『こころ』は私の愛蔵(愛読?)のだとか言ってからまれたので、やはり同年の斎藤衛のことを思い出してしまった。渡辺秀樹を私にけしかけた爺さんである。阪大へ行ってほどなく、新任教員として何か研究発表をしろと言われたので、『こころ』がホモ的なところがあるという発表をしたら、この爺さん、漱石研究の現状など何も知らないくせに、さんざんからんできて迷惑だった。 シェイクスピアが専門なのだが、碌に業績がなくて、教授の藤田実とは犬猿の仲で、二人して研究費で同じを買うものだから、二人が退官したあとは同じが二冊ずつ大量にあった。税金の無駄遣いだ。94年のシェイクスピア学会では特別講演をしたのだが、最近のシェイクスピア研究に文句をつけたのはいいが、時間が足りなくなって、ベルをチンチン鳴らされてうわうわ言っていた。平川先生など規定時間ぴったりに終らせる。学

    小堀桂一郎の川端嫌い - jun-jun1965の日記
    kanimaster
    kanimaster 2009/05/03
    「既に若者は村上春樹などではなくて伊坂幸太郎とかを読んでいる。若者に人気があるのは村上春樹、などと思っていることが、もう年をとった証拠なのだ。」
  • 本格小説? - jun-jun1965の日記

    水村美苗ではない。香山リカである。『精神科医ミツルの妄想気分』というのが出るので、ああ久しぶりの小説だなあと思ってアマゾンで見たら「著者初の小説」とある。じゃあ『えんじぇる』は小説ではなかったのか。手すさび小説だったのか。 - 書店で、中田喜直伝が私のの隣にあった。嫌煙家中田の伝記の隣なぞけったくそ悪いから遠ざけておいた。 『人を惚れさせる男 吉行淳之介伝』が出ていたので購入、読み始めていきなり「美人看護師」とあったからげんなりして放り出した。看護婦でいいではないか看護婦で。 だいたい『面白半分』の発行者で『四畳半襖の下張り』裁判で戦った男が、看護婦を自動的に看護師に変えるなどという、別に誰も強制していない、ぶきみな言語統制の力に無自覚だなどというのは困ったものだ。「女性看護師」なんて書くやつは、文学を語る資格なし。 というわけで、このはブックオフへ直行するかもしれない。 -

    本格小説? - jun-jun1965の日記
    kanimaster
    kanimaster 2009/04/29
     “「女性看護師」なんて書くやつは、文学を語る資格なし。”
  • 「国際グラフ」からの電話 - jun-jun1965の日記

    電話番号は大阪であった。男は、国際企画の「国際グラフ」という雑誌の者と名乗り、塾の塾長さんですかと言う。うちの雑誌で紹介したい、と言う。 「まあこういう、文学の塾というのは珍しいと思いまして」 「そうですか?」 検索すると、すぐに「あとで八万いくらの広告料を請求する」というのが出てきた。男は、 「塾長さんは、あの、文学とかそういうものに、以前から興味がおありだったんですか?」 と訊く。 「は? 私のことを、何もご存知ないんですか」 「ああ、ええ、ご存知・・・知らないんです。名前も分からなくて」 「小谷野です」 「くえのさん?」 「あの、何か様子が変なので、切りますけど」 「あ、はい、分かりました」 - 「淀君」は辻君などになぞらえた蔑称説を最初に唱えた小和田哲男先生、昨年10月3日の読売新聞で諸田玲子と対談「戦国の女たち」をして、 諸田 でも女性に関する確かな史料って少ないですね。小和

    「国際グラフ」からの電話 - jun-jun1965の日記
    kanimaster
    kanimaster 2009/04/25
    「遂に禁煙ソープランド出現。」
  • 『声の網』 - jun-jun1965の日記

    枡野浩一さんに勧められた星新一の『声の網』を読んだ。短編連作などと書いてあるが、これは長編だろう。コンピューターが意志を持って人々を支配するという話で、最後に、それが神だというようなおちがついている。 つまらないとは言わないが、面白くはない。何より、デジャ・ヴュ感が激しい。これくらいの話は、SFの中にいくらでもあるだろうという気がする。それといつものことだが、色気がない。美女をあてがわれても、美女は深夜前に帰ってしまう。ここを読んだ時、星新一のまるで処女のようなセックス恐怖を感じた。 角川文庫の、2006年改訂版なので、恩田陸が解説を書いている。30年前に現代社会を予見していると、驚いてみせているが、うーん。 コンピューターは、「お前の秘密をばらすぞ」という形で人を脅す。途中で、脅しに屈せず戦おうとする大学生三人組が現われて、これはコンピューターの陰謀で警察に捕まってしまう。 これもデジャ

    『声の網』 - jun-jun1965の日記
    kanimaster
    kanimaster 2009/04/22
    ネタばれ注意。
  • 自作自評 - jun-jun1965の日記

    『フリースタイル』という雑誌で私の著作が二冊とりあげられている、と栗原さんのブログで知って、近所の屋で探したのですが見つからず、栗原さんに送ってもらいました。 『里見弓享伝』を取り上げてくれたのは窪木淳子さんで、最後に「小谷野さんの鉄砲玉のような文士っぷりから目が離せないこの頃です」と結ばれています。窪木さん、ありがとうございました。 『美人作家は二度死ぬ』を取り上げてくれたのは枡野浩一さんで、枡野さんはこの小説のために孤軍奮闘の態でありがたいことです。これがあちこちの出版社で断られたという点に「出版社の審美眼というものに疑問を持つ」と書いています。 しかし私は「文藝評論家もどき」なので、理由は分かります。第一に、長生きしたら埋もれていたという仮定が、樋口一葉ファンを怒らせる、ということ。そして、樋口一葉を読んだことがない人には今ひとつ面白くないだろうということ、このディレンマがあります

    自作自評 - jun-jun1965の日記
    kanimaster
    kanimaster 2009/04/11
    「どうも現代の小説には、不要に長くする傾向があると思っています。」