イスラム教、キリスト教、ユダヤ教という3大宗教の「聖地」となっているイスラエルのエルサレム。なぜ、複数の宗教が同じところを聖地としているのか? そしてなぜ彼らは争うのか? 中東研究家の尚子先生がわかりやすく解説します。 エルサレムがユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3大一神教の聖地であることはよく知られていますが、なぜ聖地なの?と尋ねられると、正確に答えられる人はひじょうに少ないでしょう。今回はエルサレムの複雑な歴史を簡単に説明しつつ、宗教の難しさを考えてみたいと思います。 イスラエルの首都になれないエルサレム イスラエルが建国されることとなった第一次中東戦争(1948~49年)の際の休戦協定によって、エルサレムはアラブ人地区の東エルサレム(ヨルダン領、1967年まで)と、イスラエルが占領した西エルサレムに分断されました。そして、イスラエルは1950年、エルサレムを首都として宣言します。こ