保阪正康さん・米窪明美さん ※本対談は単行本『天皇陛下の私生活』刊行当時のものになります 皇居の最奥で行われる宮中祭祀から、質素な日々の食卓、さらには身支度、お風呂、トイレの決まりごとまで――この12月に刊行された『天皇陛下の私生活―1945年の昭和天皇―』は、ユニークなノンフィクションだ。膨大な史料を繙き、ネクタイの結び方や就寝時の服装、愛用のゴミ箱といったディテールを丹念に集めて、昭和天皇の「生涯で最も特別な1年」の暮らしぶりを鮮やかに甦らせた。そこに息づいているのは、息子であり、兄であり、夫であり、父である人間・天皇である。 「歴史は平凡な日常の中で動いていくもの」と言う米窪氏が、昭和史研究の大家、保阪氏と、昭和天皇の語られざる実像について語り合った。 真理は「日常」に宿る 米窪 本日は、とても緊張して参りました。厳しいご意見をいただければ幸いです。 保阪 いやいや、今回あなたの本を