これまで公開した記事の中で、僕は何度か、分譲地の販売当時の新聞広告を紹介しているが、これらの広告はすべて図書館にある新聞の縮刷版を当てずっぽうに探して見つけたものを複写している。紙面広告には報道記事のような索引もなく、1か月ごとに刊行されている分厚い縮刷版の中から有用な広告が見つけられるかは、まさに運任せでしかない不毛な作業だ。 今でこそネット媒体にシェアを奪われ広告費の減少が著しい新聞広告だが、高度成長期やバブル期にかけては、新聞紙面広告の掲載料金はまだ高額で(今でも安くないとは思うが)、資金力の乏しい中小企業ではおいそれと出せるものではなかったはずである。そのため、新聞に掲載されている不動産広告は基本的に都心近くの分譲マンションや、郊外でも主要駅近くに展開された大手デベロッパーの開発団地がほとんどであり、当然のことながら、得体の知れない無名会社が適当に開発したような超郊外の限界分譲地の