主演映画で沢田研二が魅力的に映るのは、やはり時の権力・権威・時代の風潮などに抗う姿であると私は思う。 単独主演第一作は『炎の肖像』(1974年)。この作品はライブ映像や本人のインタビューのほか、ドラマパートで構成されている。現実と虚構を交差させながら生身の沢田研二を表現し、沢田は自身の分身ともいえるジュリーというロック歌手を演じる。 初っ端から荒っぽく下卑た台詞、喧嘩で血塗れの姿、激しいベッドシーンと脱アイドルを意識した作り。80年代に花開く映画スター・沢田研二の原点と言える演技がぎっしり詰め込まれていて興味深い。 人が行き交う路上を歩いているジュリーが、突然「俺はジュリーや!」と叫ぶ場面が印象的。隠しカメラでゲリラ撮影され、通りすがりの人々が反応する様を同時にドキュメンタリー手法で切り取っているのだが「俺は王子様でもお行儀の良いアイドルでも何でもない。俺は俺、ジュリーや!」そんな叫び声が