山根 一眞 ノンフィクション作家 ノンフィクション作家として先端科学技術分野の熱い人間像を描き続ける一方、3.11被災地支援活動も人生の大きな柱です。 この著者の記事を見る
(2011年8月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) そのテレビは鮮やかで、デザインは洗練されており、生産するのが非常に難しかった。だが、ソニーの技術者たちが新しいトリニトロン管を所定の位置に置く方法を習得した時、彼らは世界的なヒットを生み出した。 トリニトロンがソニーをトップクラスの家電メーカーへと飛躍させてから40年以上の歳月が経った今、業界ウォッチャーが知っているように、状況はあまり芳しくない。 ソニーのテレビ事業は8年連続の赤字 韓国のサムスンとLGは、ブラウン管を使わない薄型テレビの販売でトップを走っており、ソニーのテレビ事業は8年連続の赤字に陥っている。 薄型テレビの時代に苦戦している日本メーカーはソニーだけではない。日立製作所、東芝、シャープも市場でシェアを失っている。 証券会社CLSAの調査によると、日本の電機メーカーは過去10年間で、全体の市場シェアのほぼ3分の1を台
高月氏は着眼点と内容がとても面白いライターのひとりだ。『南極一号伝説 ダッチワイフの戦後史』はこの分野の“古典的名著”の位置にあるし、また『ロリコン』も日本のロリコン史という誰かがやっていてもおかしくないのに誰もまとめて解明していなかった分野をクリアに描いた好著だ。僕はてっきり高月氏はそういうサブカル系「だけ」に強いライターだと思ったが、この本で韓国の芸能界、そして社会、ネットの動向にきわめて深い見識と観察眼をもっていることが(僕が知らなかっただけなのだが)わかった。本書は特に、韓国芸能界のスターシステム、広告、契約形態やマネージメントの内実を具体的な数字を提示しながら書いていることもあり、一種の韓国経済の裏面史としても読むことができる。 最近、K-POPや韓流ドラマが日本で過剰に喧伝されていると一部で批判を浴びているが、本書を読むと海外、特に最大の市場である日本に攻勢をかけないでは、韓国
先ほどNHK-BSプレミアムでABBAを取り上げていたが、お金絡みのテレビ番組で挿入曲として良く使われる曲に、ABBAの「Money, Money, Money」がある。改めてこの曲の歌詞を読んでみると、仕事に追われて生活にゆとりがない女性が金持ちの世界に憧れ一攫千金を夢見る、という内容のようである。 まさにそうした拝金主義をノアピニオン氏が直近のエントリで批判し、本ブログの昨日エントリへのコメントでご紹介いただいた。そのエントリで氏は、日本ではそれほど給与の高くない仕事に就いている人もプロとして遇され、上記の曲の女性のように負け犬根性を持つことも無い、と書いている。ただ、同エントリのコメント欄では、小泉改革以降それも変わりつつあり、「一億総中流」という言葉は聞かれなくなった、という指摘がなされ、ノアピニオン氏もそれに同意している。 一方、そうした中流社会の崩壊は製造業の軽視によるものだ、
例えばFacebookやTwitterなどのソーシャルサービスは、実際にどれくらい国内企業ネットで使われているのか---。大手ファイアウォールベンダーの米パロアルトネットワークスは、半年に一度、世界中のユーザー企業を対象に大規模なトラフィック調査を実施し、様々なデータを収集および分析している。来日した調査担当者に、日本の国内企業におけるトラフィック傾向などについて話を聞いた。 まずは調査の概要について教えてほしい。 2008年から約半年に1回の割合で、世界中のユーザー企業を対象にトラフィック調査を実施している。最新のデータは2011年5月に実施した調査で得たもので、調査対象となった企業の数は全世界で合計1253社、そのうち日本の企業は87社入っている。調査対象企業の数は回を重ねるごとに大きく増えており、前回(2010年10月)は723社、前々回(2010年3月)は347社だった。具体的な企
日本は中学1年生から英語を教育しているのにもかかわらず、大学を卒業しても英語圏の5歳児ともまともな会話ができない人が多い。 それはなぜでしょうか? 実は、日本という国自体が英語学習に数多くの阻害要因をはらんでいるのです。このブログでは、なぜ日本が英語教育に向かないかをまとめました。 1.英語の教育方法 日本では「訳読方式」という方法で英語を教育しています。「訳読方式とは?」と思われた方は、学生時代を思い返してみてください。英語の授業は、教科書や黒板に書かれた英文をひたすら訳して覚える教育ではありませんでしたか?この教育方法こそが訳読方式なのです。「英語を日本語で学ぶ」やり方では学習速度は落ちるばかりでしょう。 もしも「翻訳家」を目指すのなら、訳読方式は最適な教育方法です。しかし、「自由に英語を話す」ことが目的の場合、訳読方式は向いているとは言えない学習法です。英語を`話す・聞く`練習をしな
今週のコラムニスト:ダニエル・ロング 〔8月10・17日号掲載〕 ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界自然遺産登録によって、「小笠原」という文字が頻繁にニュースに登場するようになった。とはいえ、そこは東京から1000㌔離れた東京都。180年以上前の江戸時代から続く多言語・多文化・多民族の歴史についてはあまり知られていない。 私が小笠原に初めて行ったのは1997年。当時、大阪大学大学院で日本の方言を研究していたが、指導教官の徳川先生に「英語と日本語の両方が話せるロング君にしかできない研究があるよ」と教えていただいたのがきっかけだった。 小笠原には、1830年代に島に住み着いた先祖の血を引く欧米系島民が暮らしている。人生の半分以上を日本で過ごした私は、複雑なアイデンティティーを持つ彼らに共感できるところがあった。しかし何よりも興味深かったのは、彼らが日常生活で用いている英語と日本語が混在する
原発事故以来、色々なことを考えているのだが、その一つが「なぜ日本では民意がなかなか反映されないのだろう」ということ。泊原発の再稼働容認が典型的な例。これだけ多くの人が反対しているのにも関らず(参照、参照)、必要だったはずのストレステストもなく、原子力安全委員会の形だけの二重チェック(参照)で北海道知事の再稼働容認となった。 「政治家が票集めで忙しくて実際に国を運営しているのは官僚」「官僚の業界への天下りが官民の癒着を生み出している」「マスコミはスポンサーに不利になることは報じない」などの政府やマスコミにも大きな問題があるが、国民側にも若干問題があると思う。うまく表現するのは難しいのだが、 政府は「お上」であり、市民運動とは「お上にたてつくこと」に相当する という江戸時代から続いているメンタリティが根っこのどこかにあるのではないかと思う。それが「市民運動=左翼活動」というイメージを固定化させ
※訂正:序盤の女性の比率に間違いがあります。コメント欄でご指摘頂いた通り、リーグ全体とJ1のみのデータを一緒にみていました。リーグ全体の数に合わせると、1試合の女性の平均観客動員数は5418人(2004年)→4711(2010年)で約700人の減少になります。お騒がせしてすみません。 2011年のJリーグ平均観客動員数が落ち込んでいる。その原因を先の東日本大震災に求める意見は多い。「生活することが何より重要だから、娯楽は二の次」「自粛ムードだから」だがこれらの意見、僕にはずっと違和感がある。震災により来れなくなった人を想像して責任を帰するよりも、やることがあるんじゃないの? Jリーグは年間のべ900万人の観客動員数を誇る日本を代表するプロスポーツだが、Jリーグが公表している観戦者調査によると、1人あたりの平均観戦頻度は12〜14回ととても高い。それを考慮すると、年間60〜70万人ほどしかス
ここでも何度も述べている様に、Androidを搭載したスマートフォンでiPhoneと真っ向から対抗しようというビジネスが利益を生むとはどうしても思えないのだが、Androidだからこそ可能になるビジネスというものもしっかりとある。典型的なのがこれ。 $80 Android Phone Sells Like Hotcakes in Kenya, the World Next? 中国のHuaweiが作った「80ドルスマートフォン」がケニアでバカ売れだそうである。搭載するメモリもカメラの解像度も最低限ものに抑え、徹底的に低コスト化したスマートフォンを開発途上国に売るという戦略である。 この価格帯にはAppleもMicrosoftのOEM先も入って来ないことは確実。今まではSeries40を開発途上国で売りまくっていたNokiaも足元がかなり揺らいでいるので、今がチャンスというわけだ。 戦後の高度
研究のため来日中のノアピニオン氏がそう書いている。 曰く、日本ではベンチやゴミ箱や公園や水飲み場といった公共施設が少なく、少し休もうと思ったら喫茶店に入って何がしかの出費を覚悟しなくてはならないし、車に乗ればただで停められる場所はなく、高速道路に入れば通行料を取られる。これはまさに政府の介入を抑えてすべて民間でやっていこうとするリバタリアンの思い描く世界ではないか、との由。 …この発想はなかった、という感じだが、駐日経験のあるコメンターからは、場所にもよるが東京には無料の公園は多くある、ゴミ箱が撤去されたのはオウム事件以降、といった指摘が寄せられている。また、ある日本人名のコメンターは、そうした施設が無くなったのは人権活動家の訴訟のせい、と書いている。 ちなみに氏が研究しているのは、このエントリによれば青学と阪大との由。 [8/19追記] コメントでノアピニオン氏本人からの指摘を頂いたよう
阪神淡路大震災について一貫してテーマにしてきた経済学者の実証ベースの本。僕も林氏の書いたものは、自分の発言のベースとして利用させてもらってきただけにこの新書の発表は嬉しい。ただ多くの部分は、阪神淡路大震災に関してすでに発表してきた論文・報告書に加筆修正したものからなる。また本書の前半は、阪神淡路大震災を契機にしてどのように法制度が変化してきたか、そして現状ではどのような法制度が重要なものかの基本的な災害対応の説明が詳細に書かれていて、たぶんかなり読み手のハードルを高くしてしまっている。もちろん実際に政策ベースで考えるとこの日本の災害関係の法制度をよく知っておかないとまずいのでそれはそれで貴重な貢献になっている。 とりあえず、この本でいま僕の一番の関心は最後部にある第11章と12章である。僕は今回の大震災に関連する被害額の推計については、林氏のものを支持してきた(直接的な人的被害を含めた約3
【教えてくん】コミュニティーなのです。 なんかニュースとかあったらここに書こうかと思ってますよ。とりあえず、おいらのブログ 戦後と震災とアニメ。 昨今の世界不況で、「質は良いけど価格が高い」という日本の製品は、「質は良くないけど安い」という製品に押されて、あまり売れなくなってしまいました。 日本は、エネルギーやら素材やらを輸入しないと自活できない国なので、自動車やハイテク機器などを世界中に売って生活を維持していました。 ところが、生活を維持する仕組みが崩れ始めているんですね。 そんな状況ですが、国内の政治の問題やら、マスコミの問題やら、下流食いの業界やら、、と、縮小する日本の中でのポジション争いをしているように見えます。 イスがどんどん減ってるのに、イスを取る速さばかりを研究してるイス取りゲームをしてるように見えます。 そろそろ、大勢の人が安心して座れるイスを増やさなきゃいけないんじゃない
原子力発電の燃料代は安い。一方、火力発電の燃料代は高い。ゆえに原発を止めてその分の電力を火力発電により補おうとすると、新たに3兆円以上のお金が必要になる。これは6月7日に経済産業省の試算として海江田万里経産大臣が発表したものである。 それが大手マスコミによって広く伝えられたために、脱原発は高くつくというイメージが国民に定着した。経産省は、多くの国民が、そんなにお金がかかるのなら今後も原発を動かすべきだと考えるようになることを狙ったと思われるが、それは思わぬ方向へ世論を誘導してしまった。 火力発電のための燃料を輸入すると、多額のお金が海外に流出してしまう。しかし、そのお金を再生可能エネルギー開発のために国内に投資すれば国益になる。少々高価であろうと、再生可能エネルギーの推進は国益になる、との理屈につながったのである。 原発を止めた時の費用を高く見積もったことが、再生可能エネルギーを推進すべし
湯沢雍彦『明治の結婚 明治の離婚』を読む。 手堅くて、いい本。 明治時代って、半ば過ぎまで、実は離婚がとっても多い社会だった。 離婚率は、昭和40年ごろに比べて、3倍近く、最近と比較しても5割近く高い(7頁)。 なんで?という疑問に本書は答えようとしている。 じゃあ、なんで、ある時期まで、離婚率が高かったのか? 著者曰く(63、64頁)、 ①そもそも、結婚は生涯続けないといけないものと言う考えが庶民に乏しかった。 ②8割以上を占める嫁入り結婚だと、親、特に姑が読めの欠点を指摘して離婚を迫るケースが多かった。 ③本人たちはともかく、親族や近隣の人が結婚がふさわしくないと考えれば、容易に離婚が行われた。 ④離婚手続きがルーズで、届出は必要としないケースが殆どだった。(事実上別居してたら、役場が判断して、戸籍に離婚と記入するケースもあった。) 一般の家庭の場合、大半は、夫側の親族集団が、嫌になっ
Twitterまんべくん事件の問題点と特殊事情 長万部町のゆるキャラ「まんべくん」のTwitterアカウントが8月14日に日本の戦争責任についてのツイートを行ったため、町に苦情が殺到し、町は「まんべくん」のアカウント閉鎖を業者に命じた、という事件がありました。 北海道長万部町は16日、公式キャラクター「まんべくん」の簡易ブログ「ツイッター」を閉鎖することを決めた。終戦記念日に合わせ「日本の侵略戦争が全てのはじまり」などと書き込み、苦情や抗議が殺到したためで、白井捷一町長は観光協会のホームページに「おわび」を掲載した。 まんべくん:ツイッターに苦情殺到で閉鎖…北海道長万部町 - 毎日jp(毎日新聞) そもそも、町のPRのために存在するはずの「ゆるキャラ」が、しかもTwitterという議論が困難な場で、さらに「毒舌が売り」という紛糾必至の設定までしておいて、なんで戦争の話を始めるのかがよく分
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