それなりに前評判が高かったものの「いつものクトゥルフ本か」とほとんどノーチェックだったので、いざ手に取ってみると、ネット上で知っている人の名前がたくさん載っていて、おほほ、チェックしてなくてすみません、本当、しつけがなってなくて。と、見も知らぬ他人の子供の頭をぶん殴りたくなった。いや、この場合は穴があったら入りたい、と言うのが適切なのか。まあわたしはクトゥルー神話体系の邪神群の一柱ではないので穴蔵に潜り込む趣味なんざなく、普通に読み始めると、111編のお話とは言い条、800字縛りの掌編集なのですらすらと読み進めることができる。もちろん、楽しむためにはある程度はラヴクラフト作品の素養が必要とされるので、これを機にゲームやら漫画やらだけで満足せずに創元推理文庫の全集も併読し始めるような人たちが現れると嬉しい。 結論から言うと、期待通りというか、定形通りというか、日常のちょっとした恐怖や口伝的