物部氏伝承を多く含む史書、『先代旧事本紀』について。十巻本のみが対象です。概要の紹介、表や図によるまとめ、全文口語訳など。『先代旧事本紀』は9世紀に成立したらしい歴史書です。神代から推古天皇に至るまでの内容を、『古事記』『日本書紀』『古語拾遺』などを参考にしつつ作られたといわれています。 全十巻で、略して『旧事紀』『旧事本紀』ともいいます。序文に聖徳太子・蘇我馬子らの撰とあることなどから、偽書として扱われますが、不自然なのは限られた部分だけで、『記』『紀』に準じる史料価値をみとめてもよいと思います。 巻五の『天孫本紀』、巻十の『国造本紀』は、尾張氏・物部氏の伝承等古い資料によっていて、『記』『紀』にはない記述がみられます。 なお、旧事紀には七十二巻本と三十巻本のものなどもありますが、両書とも江戸時代につくられたもので十巻本旧事紀とは全くの別物です。