なぜ、これだけ働いても豊かにならないのか。その理由は、個人の努力不足ではなく、そもそもの「仕組み」にあるのかもしれない。 資本主義とは、労働によって生み出された価値のすべてが労働者に還元されるわけではない構造を前提としている。さらに、政治と資本の関係、そして失われた30年の中で進んだ賃金抑制――。 日本社会に根付く“報われにくさ”の正体を生物学者の池田清彦氏が読み解く。 ※本記事は、池田清彦氏著『人はなぜ働かなくてもいいのか』(扶桑社新書)をもとに再構成したものです 資本主義とは、資本(お金や土地や設備など)を持つ者(資本家)が労働力を雇い、その成果を市場で売って利潤を得る仕組みである。 たとえば労働者に1万円の賃金を支払い、その商品が1万5000円で売れれば、差額の5000円が利潤となる。 もちろん利潤のすべてが資本家の懐に入るわけではないにせよ、労働によって生み出された価値のすべてが賃

