発電所を持つ電力会社を援助するため、電気を仕入れて家庭や企業に売る小売会社などが、巨額資金を毎年徴収される制度がスタートした。初年となる2024年度分だけで援助総額は約1兆6000億円に上り、小売会社は電気料金に転嫁しないと電力会社への支払いを工面できない可能性もある。電力業界を支える名目で、国民負担が重くなる懸念が強まる。(妹尾聡太) 制度は火力発電所などを維持・更新し、電力不足を防ぐ目的で経済産業省が主導。翌年度以降も恒久的に援助を続ける。再生可能エネルギーの普及などで電力価格が下がり、主力の火力の収益は低下。しかし火力が減少すれば天候次第で増減する再エネを補えず、緊急事態に対応できないというのが政府の考えだ。 同省などは援助額を決めるために、4年後に必要な国内の総発電能力を推計。電力会社に提供可能な発電能力と希望する代金を入札方式で提出させる「容量市場」の仕組みを導入した。だが、7月