本記事では、RWKVとよばれるモデルのアーキテクチャについて詳しく説明します。 はじめに 自然言語処理の分野において、Transformer[1]の登場以前に一般的に使用されてきたRNN[2]はいくつかの課題を抱えており、その課題を克服する新たな手法として、RNNとは完全に異なるアプローチを取るTransformerが登場しました。しかし、Transformerにも解決すべき問題が存在しています。そこで、これらのアプローチを結びつけて進化させていく必要が出てきました。 まず、RNNの利点と欠点を見てみましょう。RNNは、文章の長さにほとんど制約がなく、計算コストも比較的小さいという利点があります。しかし、以前の入力を正確に記憶することが難しく(長期依存性を捉えられない)、学習を高速化することも難しい(学習並列化が困難)という欠点も存在します。 一方、Transformerは長期依存性を捉え