努力したからといって必ずしも報われるワケじゃない 高木が林の部署に入ってから6カ月が経った。林と高木の関係は必ずしも理想的な関係ではない。林はこの6カ月間、何とか良い関係を築こうと、慣れない敬語を使うことに努力したり、コーチングセッションをとっている友人にアドバイスしてもらいながら、良かれと思うことをあれやこれやと試したりもしてきた。にもかかわらず、関係は一歩前進したかと思うと、二歩後退ということの繰り返しである。「本当に今まで自分が払ってきた犠牲は、効を奏しているのだろうか?」と努力することに疑問を持ち始めている。 努力すればするほど、犠牲を払った代償として「高木が自分の思っているような部下に変わり、自分の思っているような理想的な上司と部下の関係になるはず」という無意識の期待が出てくるのは、人間として当然である。しかしここで危険なのは、林がいまだに「高木を変えることができる」「高木を変え