久しぶりに若林さんにメールをしたら、その返信が「実は辞めるんですよ」からはじまったものだから、打ち合わせ中に思わず「え!?」と発してしまった。 情報が、「何を言うか」と同じくらい「誰が言うか」が大切な中で、その発信元の主権がメディアから個人に移行したこの10年。その中でもなお圧倒的な「メディア力」を日本国内で保持し続けてきたのが『WIRED』日本版であったということは、少しでもメディアに関心がある人であれば納得いただける事実だと思う。そしてそれはやはり、編集長の才能と熱量があまりに強烈だったが故に担保されていたということも、同誌を愛するみなさんだったらご存知のはずだ。 かくいう筆者も、毎号毎号、若林さんが書く特集の前書きが楽しみで、(こんなこと言ったら怒られるかもしれないけど、どうしても時間がとれないときは)そのイントロダクションのページだけを読む号もいくつかあった。それくらい、この201