米国で「贅沢品としての信念」(luxury beliefs)という概念が話題になっている。元は2019年ごろにちょっと話題になったらしいのだが、私は見逃していた。それが提唱者のロブ・ヘンダーソンが最近自伝「Troubled」を出したこともあって見直され、昨今のいわゆるウォーキズム(日本の文脈に合わせると意識高い系とでも訳すべきか)へのカウンターとして持ち出されているようだ。 ヘンダーソンの顔を見ると分かると思うが、ヘンダーソンという欧米系の姓の印象に反して、彼はアジア系米国人である。彼の母親は韓国からカリフォルニアに渡り、大学を中退して薬物中毒者となった。父親がはっきりしない子供が何人も生まれ、そのうちの一人がロブだった。母親には子供を育てる能力も意欲もなく(その後逮捕され韓国に強制送還されている)、間もなく養子に出されたので、姓がヘンダーソンなのである。しかも養親も離婚してしまい、養母は
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