立体的で華麗なワイヤー・ワークで鳴らしたツイ・ハークらしからぬ、泥臭く血生臭い殺陣。黒澤明へのオマージュなのかなと思ったら、雑誌などのレビューでもそれに触れられていて、やっぱりねと公開当時一人悦に入っていたものでした。ところが今回久しぶりに観たら「泥水の中で登場人物たちがぐちゃぐちゃになりながら何かひたすら叫んでいる」という印象が強く、演出にもうちょっとメリハリが欲しい感じ。ただそうなると作品が持っている「得体の知れない勢い」みたいなものも殺がれるかもしれないけど。 さて武術指導は(『発狂する唇』の殺陣でも一部に有名な)クマさんこと熊欣欣。彼はこの映画で最強の敵「飛ぶ男ルン」も演じています。出番はごく短いながらも、映画自体は彼の存在感で持っているといっても過言ではない。事実、二刀流で全身タトゥーの後姿が映画のイメージビジュアルで、実際に観るまでは彼が主人公かと思ってたくらい。(確認は取れて