(英エコノミスト誌 2011年1月22日号) 「レッドバック(人民元)」の台頭を巡る物語は、いよいよ話が込み入ってきた。 小説家のゲイリー・シュタインガート氏は、新著『Super Sad True Love Story(素晴らしく悲しい本当のラブストーリー)』で、無理をし過ぎた米国がアジアの債権者たちの忍耐に依存するという未来を描いている。 そのシナリオは、悲しいことに、著者の想像力を試すような難しいものではない。この虚構の世界では、米国の通貨と中国の通貨がまだ密接に関連している。だが、不安を抱く米国人が自分たちの「グリーンバック(ドル)」を人民元に(1元=約4.9ドルで)ペッグさせており、その逆ではない。 ドル基軸体制の限界? 「米国はコーポレートガバナンス(企業統治)や為替メカニズムの国際体制に重大なリスクを与えている」と中国の中央銀行総裁がニューヨーク訪問後に話す。これは小説での話だ