<< 前の記事 | トップページ | 次の記事 >> 2008年09月11日 (木)視点・論点 「死者と語らう」 詩人 長田 弘 年年歳歳、人の死の知らせを聞くことが、多くなりました。身近な人の死、50年会わなかった、幼い日の友人の死、あるいは一度も会ったことがなくても、ずっと近しく思っていた、そういう人の死。ふっと立ち止まって、あるいは、ふっと顔を上げて、そうした今はいない人たちと、話したくなる時があります。今、ここにない人と語ることの必要を思い出させてくれるそういう存在、死者というのは、そういう存在です。 ここにいない人と話すこと、死者と語らうこと、黙って語らうこと、黙って語らうというのは、今ここにいない人に向かって、問いかけるということです。答えを求めるためではなくて、答えを求めても、もはや答えないのが死者ですから、ここにいない人へ問いかけるのは、そうすることで、自分を励ます、ある