突飛に聞こえるであろうから、順を追って説明しよう。有徴化とは「徴(しるし)を付ける」ということである。今ではそれほどないが、医師や作家が女性の場合、女医、女流作家などと呼ばれることがある。これは医者や作家は男性であるという前提のもとで、「女」「女流」という語をつけて有徴化されているのである。 『ゴールデンカムイ』においては、囚人たちの身体に暗号の刺青を施すことで徴付け、他の登場人物とは異なる別の存在として際立たせている。刺青が施されることで男たちは囚人たちの男性身体に対して欲望するようになり、その皮膚に向けて刃を突き立てるのである。だとすると刺青に突き立てられる刃は女性器へ挿入される男性器の隠喩であると考えるのが自然だ。