椅子から立ち上がる。階段を上る。瓶の蓋をひねって開ける。食料品の袋を運ぶ──。日常生活には、私たちが当たり前のようにやっている動作が数多くある。しかし、年を重ねるにつれて、このような日常的動作がだんだんしにくくなるのはなぜだろうか? それは、筋肉量と筋力が低下するからだ。これは専門用語で「サルコペニア」と呼ばれる。 東京都立大学と大阪大学の研究チームが今年、学術誌ScienceDirectで発表した研究結果からは、筋肉組織の成長と修復に関する新たな知見が示されている。研究チームは、血小板由来成長因子サブユニットB(PDGF-B)と呼ばれるタンパク質に着目し、このタンパク質が筋肉の成長に深く関係していることを明らかにした。この発見は将来、加齢による筋肉の減少を食い止めるのに役立つかもしれない。 サルコペニアとは 人間の筋肉量は、30歳を境に、10年ごとにおよそ3~5%ずつ減少し始める。こうし