オウム事件をひとつの契機として宗教に関する多くの議論がなされている。また、国会においても宗教法人法の見直しが焦点となり、多くの関心を集めている。こうしたときにわれわれもまた、宗教について考えてみよう。この連載ではマルクスやエンゲルス、そしてレーニンが、宗教をどのようにとらえ、人々をその呪縛から解放するためにいかに闘ったのかを中心にみていくことになる。 オウム事件に端を発した宗教論議の多くは、宗教には良い宗教と悪い宗教があるとか、本来、宗教とは人を救うものであるのに一部の宗教が金儲けに走ったりしているのは問題だ、といったたぐいのもので、宗教の存在そのものを根本から問い直すものはほとんどなかった。 いったい宗教(あるいは神)とは何なのか?我々は、改めてこの問題を問うことからはじめよう。 かつて人々は、神が人間を(そしてこの世界を)生み出したと考えていた。つまり超自然的な力が自然や人