地域住民の移動を支える公共交通機関が細ってきている。人口減や過疎化に加えて、新型コロナウイルス下での行動制限に伴う利用減も追い打ちをかけた。鹿児島県内も例外ではない。自由に動ける態勢づくりへどうすればいいか。地域公共交通の在り方を考える。(連載かごしま地域交通 第1部「ゆらぐ足元」②より) 「健康な人なら歩ける距離でしょうけど、持病がある身には難しい」。鹿児島市常盤2丁目の80代女性はため息をつく。最寄りのバス停が遠くなったからだ。 近くの常盤バス停から二つ先の西田本通バス停まで乗り、買い物に行くのが常だった。今年4月、南国交通は路線再編に伴い常盤バス停を廃止。付近の住民にとって最も近いバス停は約470メートル東寄りの西田小学校前になった。 数十年前に自宅を構える際、バス停の近さや便数は決め手の一つになった。「便利な所でいいね、と友人にうらやましがられた。近頃は便も減り、昔とは変わった」。