がん細胞の分泌物と骨髄(こつずい)の細胞内にあるタンパク質との結合を阻害することで、大腸から肝臓へのがんの転移を抑制できることを、京都大大学院医学研究科の武藤誠教授(分子腫瘍(しゅよう)学)らの研究チームが解明し、29日付(日本時間)の「米科学アカデミー紀要」(電子版)に掲載された。 大腸から肝臓へは静脈が通じており、がんが転移するケースが多いという。 研究チームは「転移の仕組みの研究を進め、転移を防ぐ医薬品の実用化を目指す」としている。 研究チームによると、がん細胞から分泌されるタンパク質が、このタンパク質と結合する性質のある別のタンパク質「CCR1」を持つ骨髄内の細胞を引き寄せて、結合する。この細胞が組織の一部を分解する酵素を出しており、がん細胞が転移しやすくなる−という仕組みを解明した。 研究では、がんを発症させたマウスに有機物を投与しCCR1と結合させ、このタンパク質とCCR1の結