4月上旬、中国で麻薬密輸罪に問われた日本人4人に相次いで死刑が執行された。中国での日本人の死刑執行は少なくとも昭和47年の日中国交正常化以後初めてで、しかも4人の身柄拘束から死刑確定までの経過などは一切、公表されなかった。 こうした司法手続きの不透明さには驚かされるばかりだが、中国の死刑を考えるとき、忘れてならないのが、「死刑囚ドナー」の問題である。 死刑囚ドナーとは読んで字のごとく、死刑囚を臓器提供者(ドナー)にすることを指す。信じがたい話だが、中国では死刑囚の体から心臓や肝臓、腎臓などを取り出して患者(レシピエント)に移植している。 中国の死刑囚ドナーに詳しい岡山大大学院の粟屋剛教授(生命倫理学)によると、中国では最高人民法院の規定で死刑囚から臓器を取り出して患者に植え付けることが認められ、移植される臓器の90%以上が死刑囚からの摘出だという。 死刑囚ドナーのメリットとして(1)中国の