ライターという仕事柄、人にインタビューをさせていただく機会がときどきある。そのかたのこれまでを振り返るような種類のインタビューだと、“人生の転機”的なものについてお聞きすることも多い。 (たとえば)「そんなに辛いなかでどうして仕事をがんばれたんですか」とか「ひきこもっていた部屋から出た日のことを覚えてますか」というような質問をすると、みなさん「うーん……」と考え込まれる。それから「実はこういうことがあって」とか「なんか気づいたら徐々に」とか「あんまり覚えてないですね」とか、なんらかの言葉を返してくれる。 「なんか気づいたら徐々に」とか「あんまり覚えてないですね」は言われると一瞬ヒヤッとするのだけど(自分の質問の仕方が悪いケースもあるので)、あ、いま思ったことを素直に話してくださってるんだな、と安心もする。むしろちょっと焦るのが、どんな質問をしても「実はこういうことが」とめちゃくちゃきちんと
![物語を内面化してしまうことの危険性について|生湯葉 シホ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/90755a662c552d1e15adc8259de826dc22d29349/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F4590834%2Fprofile_fb82b19ffd119666d7757944203e5ea7.jpg%3Ffit%3Dbounds%26format%3Djpeg%26quality%3D85%26width%3D330)