「アイツって全然尊敬できるところがないよな」という人に出会ったことはあるだろうか。 「いまさら何言ってるの?尊敬できる部分がゼロのヤツらに囲まれて生きてるよ」という人も多いのかもしれない。かくいう僕も、能力の足りないオジさん管理職たちを見下してしまいがちなタチである。 そんな中で、人を見下しがちな人は実は自己肯定感が低いという話を精神科医の水島広子著『自己肯定感、持っていますか?』で読んだ。さらに、裏返しだが、人を無条件にリスペクトすることは自己肯定感を高める最良の策だという。この考え方には、人の価値観をガラッと変えるパワーがあると読みながら何となく感じ、読み終えてみるとそれは確信になった。 「どうせ私なんか」という思考にすぐ陥ってしまうネガティブに自己肯定感が低い人も、他人をすぐ攻撃してしまう一見活発だけど実は隠れて自己肯定感が低い人も、これを読んで、「無条件にリスペクト」という強力な対
角川インターネット講座4 ネットが生んだ文化 誰もが表現者の時代 (角川学芸出版全集) posted with ヨメレバ 川上 量生 KADOKAWA / 角川学芸出版 2014-10-25 Kindle Amazon 全15巻で構成される『角川インターネット講座』シリーズ。その第4巻である『ネットが生んだ文化 誰もが表現者の時代』を読みました。川上量生さんによる監修の下、序章を含めると全8章・計8人の筆者によって、「ネットカルチャー」について論じられた1冊です。 本書には、ネットでもおなじみのライターやジャーナリストをはじめ、大学教授に評論家といった多彩な筆者陣が参加。同じ話題でも各々が別視点で説明しているため、多様性の権化とも言えるネット文化を多面的に捉えることのできる、“参考書”的な立ち位置の本だとも言えそうです。 章ごとに筆者が異なる、しかも各章がそこそこ濃ゆい内容となっていること
向いていないと思うならつべこべ言わず、これから紹介する本を読め。行動するのはそれからだ。 この記事は五月病への処方箋である。 五月病に備えて 今週のお題「ゴールデンウィーク2016」である。ゴールデンウィークと聞いて真っ先に思いつくのは、もちろん五月病だ。俺のように二手三手先を読む者ならば、まず連休が終わった時のことを考える。五月病について書くのは自然の流れだろう。 このブログは名前の通り読書ブログである。であれば五月病への対処も当然読書によって行う。これから紹介する5冊はどれも面白く、五月病の様々なパターンに対応できる。まずはこの記事を読み、次に紹介した本を読めば、あなたは安心して残りの連休を楽しめるだろう。 誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論 作者:D. A. ノーマン新曜社Amazon 自分がこの仕事に向いて
コミック累計450万部を突破している少女漫画の大ヒット作品、『俺物語!!』(原作:河原和音、作画:アルコ/集英社)。2013年版「このマンガがすごい!」オンナ編1位、同年の講談社漫画賞少女部門受賞作品でもあります。その勢いのままメディアミックスも進み、現在実写映画が公開中で、アニメ化もされました。私は、単行本10巻まで出ている漫画とアニメをチェックしました。 『俺物語!!』は一般的な少女漫画のヒーローのビジュアルイメージ(つまりイケメン)からかけ離れた男性を主人公とし、彼が電車内で痴漢に襲われているところを助けた女子高生大和凛子と不器用な恋愛関係を築いていくピュアラブストーリーです。主人公は、人並み外れた身体能力と行動力と正義感を持つ男子高校生・剛田猛男です。同性からは頼りにされ厚い支持を集める猛男ですが、いかつい顔(太すぎる眉毛、分厚いくちびる、角刈りなど)とごつい巨体(身長推定2m、体
最近、アマゾンの電子書籍を買うことがめっきり増えてきた。もともとKindleDXとiPadで英語版のKindle本を買っていたのだが、iPod touchで日本語の本を買うようにした(本当はアカウントを統合したかったのだがなぜかうまくいかないので業を煮やしてiPod touchを使うことにした、というのが正しい)。 画面が小さいせいもあって、今のところ、買っているのはマンガが中心だ。というか、かつてないペースでマンガを買うようになってしまって正直大丈夫なのかと思うくらいだが、置き場所に困らないというのがこんなに本を買うハードルを下げるのかとびっくりしている。 ともあれ、そういうわけで、どんどこ買ってるわけだが、最近買ったのがこれ。 こうの史代『この世界の片隅に』(上)(中)(下) 以下、感想文。 この作者の作品では、前に『夕凪の街 桜の国』を買ったことがある。そのとき書いた感想はこちら。独
『中高年がキレる理由(平凡社新書)』(榎本博明/平凡社) 4月16日、63歳の会社員が東京メトロ千代田線の車内で、つり革を引きちぎったとして逮捕された。えーそんなに簡単にちぎれるもの? 犯人は巨漢か筋骨隆々? そう思ったけれどニュースで見る限り、容疑者はどこにでもいそうな体型の60代男性だった。 本人は「電車は混雑して立ちっぱなしで疲れていた。鉄道会社を困らせようと思った」と供述していたけれど、つり革を引きちぎれば千代田線は100両に増えるというのか。沿線の住民が激減するというのか。冷静に考えればすぐにわかることなのに、自分の感情を優先させてしまい、結果誰かや何かにキレる中高年は後を絶たない。ちなみに全国のJRや私鉄などの鉄道事業者が発表しているデータによると、駅構内や車内における2014年度の暴力行為は800件で、その6割は中高年によるものだそうだ。 「キレる」といえば若者と思われていた
サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠 作者: ジリアンテット,Gillian Tett,土方奈美出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/02/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る Kindle版もあります。 サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠 (文春e-book) 作者: ジリアン・テット出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/02/24メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 内容紹介 複雑化する社会に対応するために、組織が細分化、孤立化することを「サイロ」と呼ぶ。 世界の金融システムがメルトダウンし、デジタル版ウォークマンの覇権をめぐる戦いでソニーがアップルに完敗し、ニューヨーク市役所が効率的に市民サービスを提供できない背景には、共通の原因「サイロ」がある。 文化人類学者という特異な経歴を持つ、フィナンシャル・タイム
「私は子どものとき、なぜ『バカボンのママ』が美人なのかが不思議でした」 こう語るのは「東京ラブストーリー」や「あすなろ白書」などを生み出した人気漫画化の柴門ふみさん。彼女は今までの人生で数々の嫉妬を経験し、そのことを考えるときは決まって"バカボンのママ"のことを思い浮かべていたそうです。 どうしてあれほど美人で聡明で優しく、非の打ち所のない女性なのにバカボンのママは嫉妬されないのだろう? 本書『バカボンのママはなぜ美人なのか』は、そんな疑問から始まります。 本書第2章「女は一生幸せくらべ」では著者自身の体験も交え、さまざまな要因から発生する嫉妬の数々を紹介。"容姿""育ち""学歴""持ち物"などなど、そして最後は"家族"に対する女の嫉妬を取り上げています。 嫉妬はあらゆる場面で生まれるもの。最近では、SNSなどが嫉妬を生み出す"震源地"となっているようです。 柴門さんも本書でこう言います。
『「当事者」の時代』を読んだ。 新聞記者時代に体験した警察と記者の夜回りの共同体をつまびらかにする前半、60年代〜70年代の左翼運動を総括する中盤、いずれも単体としても非常に読み応えがあり、その中から<マイノリティ憑依>という事象を浮かび上がらせていく。 「すべての日本人に突きつける渾身の書下ろし」という帯に偽りなく、佐々木俊尚さんの今までの著作とは次元がちょっと違うような凄い本だと思った。<マイノリティ憑依>とは、当事者性を失い、弱者や被害者の気持ちを神の視点から勝手に代弁すること。 「「被災者の前でそれが言えますか」という発言。あるいは、福島の母子の気持ちを勝手に代弁する多くの人たち。」 おれは結局被災地に一度も行っていなくて、テレビを持っていないのであまり映像も見ていなくて、それに対してある種の疎外感を感じる。不謹慎極まりないことは自覚すれど、感じるものは感じてしまうのだ。 震災のち
reason.com 今回紹介するのは、心理学者で疑似科学批判者で無神論者のマイケル・シャーマー(Michael Shermer)が Reason.com というサイトに掲載した「Are We Becoming Morally Smarter?」という記事。 シャーマーは昨年に『 The Moral Arc: How Science and Reason Lead Humanity toward Truth, Justice, and Freedom (道徳の弧:科学と理性はいかにして私たちを真実と正義と自由に導くか)』という本を出版している*1。副題の通り、人々が科学的・理性的な思考方法を身に付けるにつれて、他人に配慮した道徳的な思考もするようになったり、正義などの抽象的な概念を理解したり、宗教の権威を否定したり、民主主義などが普及したりして、暴力が減少してより多くの人々に権利や自由が認
タイトルが秀逸。「1998年の宇多田ヒカル」という単語を目にしただけで、様々な情景が昨日のことのように蘇ってくる。だが皮肉なことに、それは音楽に心を躍らせるという経験が、その時から更新されていないことを意味するのかもしれない。 1998年が、いかにエポックな年であったかを示す事実はいくつもある。1つは日本の音楽業界史上最高のCD売上を記録した年であるということ。そしてもう1つは、現在においても日本の音楽シーンにおけるトップ3の才能と目される音楽家が、すべて同じ1998年にデビューしたことである。それが、宇多田ヒカル、椎名林檎、aikoの3人だ。 本書は「史上最も同期に恵まれていた」3人に浜崎あゆみを加えた女性ソロアーティスト達を題材とし、1998年からの18年間が音楽史においてどういう意味を持つのか紐解いていく。単に当時をノスタルジックに振り返るだけでなく、そして現在の状況を憂うだけでもな
特定の政治イデオロギーや党派支持にこだわる、いわゆる「党派根性」の強い人たちをいかにまっとうな経済政策にめざめさせるか、本書の試みはこの一点にかかっている。特に安倍政権に批判的な「党派根性」の人たち、たとえばどんな社会事件でも安倍政権の責任にしたりするような態度を強固にもっている人たちに、その姿勢を維持させながらも(どだいこの種の党派根性は本の一冊で解消はできない病理学的なものだと僕は思っている)、安倍政権の経済政策を超えるものを提供し納得させることが、本書の目的である。 本書の主要な主張を列記すると 1 安倍首相の目的は改憲にある。その改憲のための政治勢力が実現できるように選挙に勝利しなければならない。そのために経済政策で景気を絶妙にコントロールしている。 2 安倍政権の批判をすることは正しい。松尾さんは改憲を批判し、また安保法制も反対だし、本書の最後ではファッシズムにつながるものを安倍
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