今年、中国は六四天安門事件の発生から27回目の6月4日を迎えた。中国政府はヒステリックなまでの厳戒態勢を敷き、事件を風刺した民間人や人権活動家を拘束し、海外の新聞がその横暴を非難する。そして、この前後1週間ほどの「人権モード」の期間が終われば、社会のすべては再び日常に復帰し、以前と変わらぬ毎日が続いていく――。今回も例によって、6月4日の中国は「毎年と同じように」過ぎていった。 2012年秋に習近平が党のトップに立った前後から、中国国内における体制の改革や市民の人権擁護を求める動きは従来にも増して停滞している。だが、そんな状況にもかかわらず、私は最近なぜかある民主活動家の手記を編訳して出版することになった。彼は習政権の摘発を逃れて中国各地を2年間放浪し、ついに陸路でタイまで密入国亡命したという人だった。 ちなみに、私は中国の民主化運動のイデオロギーやその活動の内容自体にそれほど強い関心や共