1. オープンデータと図書館―最新の海外事例と動向 東京大学大学院情報学環 生貝 直人 1. オープンデータ政策 近年世界各国において、公的機関の保有する情報を積極的に公開し利活用の促進を図ろうとする、オープンデータと呼ばれる政策枠組みが高い関心を集めている。オープンデータ政策の意味するところは、2013年に公表された我が国の「電子行政オープンデータ戦略」の冒頭に見える、「公共データは国民共有の財産であるという認識の下、公共データの活用を促進するための取組」という表現で要約することができるだろう。国内外のオープンデータ政策についてはすでに優れた紹介や論考が多いため詳述は避けるが、我が国においても各省庁オープンデータのポータルサイトであるData.go.jp試行版開設をはじめとする政府、そして地方自治体等における取組が急速に進められているところである。 そのような中、本稿で焦点を当てるのは、