再就職に向けて面接を受けてきた。かつて血で血を洗うような争いを繰り広げた同業他社から声を掛けられたのだ。食品業界の底辺を跋扈していた同じ穴のムジナ。内情は想像がつく。隣りの芝生は青いというが、絶対に青いはずがない。だが、長年の社畜生活で芝生の色を青くするのも鮮血で染めるのも自分次第であることを僕は知っている。新ボスは僕のことを大変評価してくれていて、営業部門の中間管理職、課長待遇で迎えてくれるといってくれた。「前職でも営業課長だったよね」「部長でした…」このやりとりの後に訪れた沈黙より重苦しい沈黙を僕は知らない。完全実力主義、学歴は関係ない、グローバルに展開と暑苦しいアピールをする新ボスは、おそらくいい人なのだろう。ただし、そこそこ学歴もあって既得権益、年功序列、終身雇用を是とする僕とは住む世界が違いすぎた。だが、何よりも無職生活から抜け出したかった。僕くらいの中年になると「停滞!」をアッ