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ブックマーク / honz.jp (32)

  • 『土偶を読むを読む』縄文研究の最前線を伝える、肝の据わったまたとない反論本 - HONZ

    作者: 望月 昭秀,小久保拓也,山田 康弘,佐々木 由香,山科 哲,白鳥兄弟,松井 実,金子 昭彦,吉田 泰幸,菅 豊 出版社: 文学通信 発売日: 2023/4/28 今やあまりお目にかかれない書籍が出た。書は、2021年4月に出版された竹倉史人『土偶を読む』(晶文社)への反論である。それも、明確な事実と論拠に基づいて真っ向からメッタ斬りにする、恐ろしく肝の据わった一冊だ。 まず、当時の『土偶を読む』現象をおさらいしよう。同書は刊行直後からNHKを中心とする各メディアで注目を集め、SNSでも紹介記事や書評が大きくバズり、脚光を浴びた。人類学者が独自の見識から打ち立てた「土偶の正体は縄文人の用植物」説をイコノロジー(図像解釈学)で次々に解き明かしていくその内容は劇的かつ鮮やかで、養老孟司氏を始めとする著名人らの好評も後押しし、半年で六刷のベストセラーとなる。 極めつきは第43回サント

    『土偶を読むを読む』縄文研究の最前線を伝える、肝の据わったまたとない反論本 - HONZ
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    khtokage 2023/06/20
  • え?日本語ってこんなに前のめりな言葉やったんか! 『会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか』 - HONZ

    え?日語ってこんなに前のめりな言葉やったんか! 『会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか』 言語がどのように生まれたかに興味を持つ人は多いのではないか。なによりも人間を人間たらしめている大きな理由のひとつは言語なのだから、当然のことだろう。すこし前に書評を書いた『言語はこうして生まれる:「即興する脳」とジェスチャーゲーム』は、そのあたりを論じたである。 周囲の人に何かを伝えるために言語が生まれた。最初から単語、ましてや文法があった訳ではない。まずはジェスチャーゲームのようなものから言語の体系が生まれてきたのではないかというのが、『言語はこうして生まれる』の内容だ。すべての言語に共通する「普遍文法」を理解する能力が遺伝的に備わっているという、あのチョムスキーの「生成文法」理論に真っ向から刃向かう考えで、たいそう面白かった。 言語の「自然発生」を考えれば、この説の方が正しそうで

    え?日本語ってこんなに前のめりな言葉やったんか! 『会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか』 - HONZ
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    khtokage 2023/05/28
  • 『無人島のふたり』余命宣告された作家の最期の日々 - HONZ

    訃報はいつだって突然だ。著名人が亡くなると、生放送中のスタジオに報道の人間が原稿をもって駆け込んでくる。速報は一刻も早く放送するのが鉄則だが、そこに記された名前に驚き、思わず足が止まってしまうことがある。訃報にあらかじめ心の準備をしておくことなんてできない。誰かの死に慣れることはこの先もきっとないだろう。 山文緒さんが亡くなったという報せも突然だった。 2021年10月13日、膵臓がんのため死去。58歳だった。 山さんは前年、7年ぶりとなる長編小説『自転しながら公転する』を発表したばかりだった。地方のショッピングモールで働く32歳の女性を主人公にした同作はまぎれもない傑作だった。 NHKの『朝イチ』だったと思うが、軽井沢のご自宅で、キツツキが家の外壁に開けた穴をリポーターに見せたりしながらインタビューに答えていたのをおぼえている。その時の楽しそうな表情がとりわけ印象に残っているのは、山

    『無人島のふたり』余命宣告された作家の最期の日々 - HONZ
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    khtokage 2022/11/02
  • 友好的なのが何より大事 『ヒトは〈家畜化〉して進化した──私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』 - HONZ

    ヒトの進化において「協力的なコミュニケーション」が大きな鍵を握ったであろうことは、たびたび指摘されるところである。人がひとりでできることは限られている。単独で野生動物を狩ろうとしても、得られるのはせいぜいウサギくらいだろう。しかし、ほかの人と協力すれば、わたしたちはシカだって野牛だって狩ることができる。また、ほかの人と情報交換すれば、わたしたちは新たな技術などについて伝えあうことができる。というように、その進化史において、協力的なコミュニケーションはヒトに多大なメリットをもたらしたと考えられる。 しかしそれならば、次のような問いがさらに生じても不思議ではないだろう。ヒトはどうやって協力的なコミュニケーションを行うことができるようになったのか。 書は、その問いに対してひとつの回答を与えようとするものである。そして、書が導き出す回答は、原書のタイトル(Survival of the Fri

    友好的なのが何より大事 『ヒトは〈家畜化〉して進化した──私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』 - HONZ
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    khtokage 2022/06/27
  • 『政治学者、PTA会長になる』これぞ街場の民主主義!政治学者が世間の現実と向き合った1000日の記録 - HONZ

    「その悩み、○○学ではすでに解決しています」みたいなタイトルのを見かけることがある。あなたが日々の仕事で直面する悩みや課題は、すでに最新の学説や理論で解決済みですよ、というわけだ。 だが当にそうだろうか。最新の学説や理論を応用すれば、世の中の問題はたちどころに解決するものだろうか。 著者は政治学を専門とする大学教授である。「話すも涙、聞くも大笑いの人生の諸々の事情」があって、47歳にして人の親となった。小学校のママ友やパパ友のほとんどは干支一回り以上年下だ。そんなママ友からある日「相談があります」と呼び出され、いきなりこんなお願いをされた。 「来年、PTA会長になってくれませんか?」 まさに青天の霹靂だ。驚いた著者は必死に出来ない理由を並べ立てる。「フルタイム・ワーカー」だから無理!「理屈っぽくて、短気で、いたずらにデカいジジイ」だから無理!ところがママ友は決してあきらめず、最後は情に

    『政治学者、PTA会長になる』これぞ街場の民主主義!政治学者が世間の現実と向き合った1000日の記録 - HONZ
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    khtokage 2022/05/24
  • やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日本中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? - HONZ

    やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? アバウトにしてアナーキー。ざっくりまとめるとこうなるのだろうか。なんだかやたらと凶暴でハードボイルドな室町時代。日人は律儀で柔和などという言い方は絶対に通用しない。室町時代の後半は戦国時代だったから、というわけではない。武士たちだけでなく、農民や女性、僧侶までもがなんだか殺気立っているのだ。まずは『びわ湖無差別殺傷事件』から。 びわ湖がくびれていちばん細くなっているところ、琵琶湖大橋のかかっている西側に堅田という町があった。というか、今もある。そこに兵庫という名の青年がいた。“他の堅田の住人と同じく、周辺を通行する船から通行量をとったり、手広く水運業を行ったり、場合によっては海賊行為を働いたり“ と、とんでもない多角経営を営んでいた。湖なので、海賊ではなくて湖賊だが、まぁ、それはよ

    やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日本中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? - HONZ
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    khtokage 2021/06/27
  • 『謎のアジア納豆』 - HONZ

    書店で書を手にとって、巻頭パラパラと数ページめくってからこの解説文で概要を知ろうとする人も多いと思うので、まず結論から言う。 このは傑作だ。あなたの納豆観を覆し、しかも納豆を入り口にアジア中の辺境民族文化の旅へと誘い、さらに現代におけるディープな旅とは何か?という問いかけまでが含まれている。「買おうかな?どうしよっかな?」と悩んでいる暇はない。今すぐレジに持っていって納豆をべながら書を貪るように読まれたい。以上終わり! …というのは解説文としては不親切なので、数ページもらって書の魅力、そして納豆文化の魅力についてガイドしようと思う。申し遅れたが、僕は発酵文化の専門家として、世界各地の不思議な発酵や微生物を訪ねてまわるのを生業としている。文中の著者の問いかけに僕なりに答える形式で、の理解をさらに深める手伝いができれば幸いだ。(ちなみにここから先はネタバレを多数含むので、もう絶

    『謎のアジア納豆』 - HONZ
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    khtokage 2020/06/11
    基本的に高野秀行の妙なタイトルの本は全部買うべき。妙じゃないのにも目茶苦茶面白いのあるから買うべき。つまり全部買え! なお将棋棋士 高野秀行六段の「初段になれるかな会議」も名著、買うべきw
  • 『本を売る技術』本屋における暗黙知がこの1冊に! - HONZ

    書店員の仕事にはマニュアルがなく、口伝や仕事を盗んで覚えるしかないと言われてきた。そんな中『を売る技術』というが売っていたので買ってみたところ、書には自分が書店員になったときに口伝で教わったことや、誰からも教わることなく、働いていた間にトライ&エラーを繰り返して、最適解だと思ってやっていた技術が書かれていた。書を読み終えたとき、書店員になったときに、このがあれば、あんなに苦労しなくても済んだのに!という思いが強く残った。 書店を辞めてから5年近くが経ち、だんだん書店員時代の記憶もうすれつつある。自分が書店員時代に見聞きした、書店における暗黙知のようなものが、書には論理的にまとめられていた。ここまで書店員の仕事を論理的に書いてあるはいままで見たことがない。とりあえず全書店員は書を教科書のように読んだらいいと思う。加えて、10年間書店員として働いていた際、自分が意識していたこと

    『本を売る技術』本屋における暗黙知がこの1冊に! - HONZ
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    khtokage 2020/01/30
  • 『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス いまからおよそ1万年前、人類は農業を発明した。農業が生まれると、人びとは必要な栄養を効率的に摂取できるようになり、移動性の狩猟採集生活から脱して、好適地に定住するようになった。そして、一部の集住地域では文明が興り、さらには、生産物の余剰を背景にして国家が形成された──。おそらくあなたもそんなストーリーを耳にし、学んだことがあるだろう。 しかし、かくも行き渡っているそのストーリーに対して、書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だが、人類はなにも農業を手にしたから定住を始めたわけではない(後述)。また、メソポタミアで最初期の国家が誕生したのは、作物栽培と定住の開始から4000年以上も後のことである。それゆえ、「農業→定住→国家」と安直に結び

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ
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    khtokage 2020/01/03
  • 麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 - HONZ

    麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 歴史、特に最悪の医療の歴史などを読んでいると、あ〜現代に生まれてきてよかったなあと、身の回りに当たり前に存在する設備や技術に感謝することが多い。昔は治せなかった病気が今では治せるケースも多いし、瀉血やロボトミー手術など、痛みや苦しみを与えるだけで一切の効果のなかった治療も、科学的手法によって見分けることができるようになってきた。 だが、そうした幾つもの医療の進歩の中で最もありがたいもののひとつは、麻酔の存在ではないか。正直、麻酔のない世界には生まれたくない。切ったり潰したりするときに意識があるなんてゾッとする──現代の医療に麻酔は絶対絶対必須だ。そのわりに、患者に麻酔を施す麻酔科医の仕事は光が当たりづらい分野である。何しろ実際に手術や治療を担当することはめったにないから、麻

    麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 - HONZ
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    khtokage 2019/12/25
  • 『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』日本型雇用慣行は、なぜこれほどまでに変わらないのか - HONZ

    いったんでき上がった社会の仕組みは、社会のコンセンサスがなければ決して変わらない。 そして、その前提となるのは透明性と公開性であり、これがない改革は必ずつまずく。 こうした仮説のもと、雇用、教育、社会保障、地域社会、政治、さらには日人の「生き方」までを規定している「慣習の束」がどのようにでき上がってきたのかを、歴史的事実と豊富な参考文献に基づいて丹念に解き明かしているのが書である。 とくに今、日型雇用慣行(女性と外国人に対する閉鎖性、正規と非正規との格差、転職のしにくさ、高度人材獲得の困難さ、長時間労働と生産性の低さ、ワークライフバランスの悪さなど)に対する閉塞感が蔓延しており、働き方改革が叫ばれているにもかかわらず、なかなか社会は変われない。なぜなら、今の雇用慣行は経営の裁量を抑えるルールとして、労働者側が歴史的に達成してきたものだからである。 日では、職務の明確化や人事の透明化

    『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』日本型雇用慣行は、なぜこれほどまでに変わらないのか - HONZ
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    khtokage 2019/09/15
    面白そう。Kindle版があるので買ってみた。
  • 『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ

    具体的な数字やデータを示してもダメ。明晰な論理で説いてもムダ。そんなとき、あなたはきっとこう思ってしまうのではないか。「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」。 実際問題、日々の生活でそんな思いを抱いてしまう場面は少なくないだろう。失敗例がすでにいくつもあるのに、それでもまだ無理筋を通そうとする社内のプレゼンター。子育てのあり方をめぐって、何を言っても聞く耳を持ってくれないパートナーなど。また不思議なことに、たとえ高学歴の人であっても、「事実に説得されない」という点ではどうやらほかの人と変わらないようだ。 さて書は、冒頭の問いを切り口としながら、人が他人に対して及ぼす「影響力」について考えようとするものである。心理学と神経科学の知見を織り交ぜつつ、著者は早々に厳しい診断を下す。 多くの人が「こうすれば他人の考えや行動を変えることができる」と信じている方法が、実は間違っていた…。 数字や統

    『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ
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    khtokage 2019/09/02
  • 『恐竜の世界史──負け犬が覇者となり、絶滅するまで』 失われた世界の新たな歴史 - HONZ

    そこに描かれている恐竜の姿に圧倒されつつ、胸をワクワクさせてページを繰った子どもの頃。そのワクワク感を思い起こさせてくれるような快著である。 2010年代に描かれる恐竜は、かつてわたしたちが見聞きした恐竜とはまるで異なっている。というのも、恐竜にまつわる研究がこの20年ほどで著しく進展し、恐竜のイメージが大きく書き換えられたからだ。驚くなかれ、たとえば新種の恐竜は、平均して週に一度のペースで発見されているのだという。書は、そうした研究の進展を背景にして、気鋭の若手研究者が新たな視点から「恐竜の世界史」を再現しようとしたものである。 よく知られているように、恐竜は三畳紀、ジュラ紀、白亜紀といった地質年代を生きていた。だがじつは、従来のイメージとは異なり、恐竜はすぐさま生物界の覇者にのしあがったわけではない。三畳紀(とくにそのうちの2億3000万年前~2億100万年前)の恐竜は、それほど大型

    『恐竜の世界史──負け犬が覇者となり、絶滅するまで』 失われた世界の新たな歴史 - HONZ
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    khtokage 2019/08/12
  • 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』無類に面白い!少年の成長物語 - HONZ

    今年もっとも感情を揺さぶられた一冊だ。 なにしろこのを読んでいる間、いい歳して中学生かよ!というくらい落ち着きがなかった。世の中の不条理に憤って汚い言葉を口にしたかと思えば、声をあげてギャハハと笑い、気がつけば目を真っ赤にして洟をかんでいた。 ノンフィクション好きで著者の名前を知らない人はいないだろう。ブレイディみかこさんは地元福岡の進学校を卒業後、音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始し、2017年に『子どもたちの階級闘争−ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で新潮ドキュメント賞を受賞した。ここ数年、注目を集める書き手である。 書は彼女がこれまで書いたものの中で、もっともプライベートな色合いの濃い一冊といっていいだろう。彼女は英国南部のブライトンという街で、アイルランド出身で大型ダンプの運転手をしている配偶

    『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』無類に面白い!少年の成長物語 - HONZ
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    khtokage 2019/06/26
  • 何でも治ることを売りにした最悪の治療法の歴史──『世にも危険な医療の世界史』 - HONZ

    現代でもインチキ医療、危険な医療はいくらでも見つけることができるが、過去の医療の多くは現代の比ではなくに危険で、同時に無理解の上に成り立っていた! 書『世にも危険な医療の世界史』はそんな危険な医療史を、元素(水銀、ヒ素、金など)、植物と土(アヘン、タバコ、コカインなど)、器具(瀉血、ロボトミー、浣腸など)、動物(ヒル、人、セックスなど)、神秘的な力(電気、動物磁気、ローヤルタッチ)の五種に分類して、語り倒した一冊である。 実のところ、このは何でも治ることを売りにした最悪の治療法の歴史を、簡潔にまとめたものだ。言うまでもなく、「最悪の治療法」は今後も生み出されるだろう。 単なる事例集にすぎないともいえるのだが、それでダレるということもなく、出てくる例があまりにもトンデモでひどいことをやっているのでなんじゃこりゃ! と笑って驚いているうちにあっという間に読み終わってしまう。たとえば、ペス

    何でも治ることを売りにした最悪の治療法の歴史──『世にも危険な医療の世界史』 - HONZ
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    khtokage 2019/04/25
  • 異なる道筋で進化した「心」を分析する──『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』 - HONZ

    タコというのはなかなかに賢い生き物で、その賢さを示すエピソードには事欠かない。 たとえばタコは人間に囚われている時はその状況をよく理解しており、逃げようとするのだが、そのタイミングは必ず人間が見ていない時であるとか。人間を見ると好奇心を持って近づいてくる。海に落ちている貝殻などを道具のように使って身を守る。人間の個体をちゃんと識別して、嫌いなやつには水を吹きかける。瓶の蓋を開けて、中の餌を取り出すことができるなどなど。 タコには5億個ものニューロンがあり(これは犬に近い。人間は1000億個)、脳ではなく腕に3分の2が集まっている。犬と同じニューロンってことは、犬ぐらい賢いのかなと考えてしまいそうになるが、タコは哺乳類らとは進化の成り立ちが根的に異なるので、単純な比較は難しい。では、いったい彼らの知性はどのように生まれ、成り立っているのか。神経系はコストの高い器官だが、それが結果的に生き残

    異なる道筋で進化した「心」を分析する──『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』 - HONZ
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    khtokage 2018/12/17
  • 【連載】『全国マン・チン分布考』第1回:京都の若い女性からの切実な願い - HONZ

    京都の若い女性からの切実な願い 1995年5月初旬のことです。ユニークな内容が書かれた一通の手書きの依頼文が、『探偵!ナイトスクープ』に寄せられました。そのころはまだパソコンが普及していませんでしたから、依頼は必ず、はがきか手紙で寄せられました。 手紙をくれたのは、京都市内に住む24歳の女子学生でした。地元京都で学生になる前に、東京で働いていた時期があったようです。この依頼はまさにこののテーマ、なんと「女陰」の名称の全国方言分布図を作成してほしいと求める内容だったのです。こんなお願いが、若い女性から、しかも大真面目な文章で寄せられてくるとは、夢にも思っていませんでした。 私たちに依頼文が届いたのは、1991年5月24日に「全国アホ・バカ分布図の完成」編を放送してから、ちょうど4年が経ったころでした。この放送をきっかけに、私が「アホ・バカ方言」の研究を仕事の合間に始め、『全国アホ・バカ分布

    【連載】『全国マン・チン分布考』第1回:京都の若い女性からの切実な願い - HONZ
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    khtokage 2018/09/13
  • 『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ロシア史上最悪の遭難怪死事件に挑む - HONZ

    一般に、は読めば読むほど物知りになれると思われがちだが、実際は逆だ。読めば読むほど、世の中はこんなにも知らないことであふれているのかと思い知らされる。その繰り返しが読書だ。 「ディアトロフ峠事件」をぼくはまったく知らなかった。これは冷戦下のソヴィエトで起きた未解決事件である。 1959年1月23日、ウラル工科大学の学生とOBら9名のグループが、ウラル山脈北部の山に登るため、エカテリンブルク(ソ連時代はスヴェルドロフスク)を出発した。 男性7名、女性2名からなるグループは、全員が長距離スキーや登山の経験者で、トレッキング第二級の資格を持っていた。彼らは当時のソ連でトレッカーの最高資格となる第三級を獲得するために、困難なルートを選んでいた。資格認定の条件は過酷なものだったが、第三級を得られれば「スポーツ・マスター」として人を指導することができる。彼らはこの資格がどうしても欲しかったのだ。 事

    『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ロシア史上最悪の遭難怪死事件に挑む - HONZ
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    khtokage 2018/09/07
    角幡唯介っぽい。面白そう。/こういうの好きな人は「アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極」おすすめ。http://www.amazon.co.jp/dp/4087452298
  • 『「日本の伝統」の正体』著者インタビュー - HONZ

    去る1月中旬、こんなメールが筆者のもとに届いた。「追加取材をしませんか」 柏書房の編集部からのものだった。文面によれば、筆者が年初にHONZで書いた『「日の伝統」の正体』(藤井青銅/柏書房)のレビューを皮切りに、正月中にAmazonは在庫切れ、紀伊国屋新宿店では完売、記事を見た他書店からも追加注文がぞくぞくと入ってきている……という状態だったそうだ。SNSを中心にびっくりするくらい拡散されていたのは気づいていたが、こうして実際に売れ行きが好調だと聞くと、レビュアーとしては嬉しいばかりだ。 それはともかく、初詣や恵方巻き、平安神宮の歴史が実は長くないという事実を含め、「日の伝統」と聞いて、なんとなくモヤモヤした思いや感情を持っている人がそれなりにいることも反響を見ながら感じていた。そんなわけで、柏書房に赴き、著者の藤井青銅さんにインタビューを行った。作家・脚家・放送作家とマルチに活躍

    『「日本の伝統」の正体』著者インタビュー - HONZ
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    khtokage 2018/02/08
    え、この本書いたの藤井青銅さんだったのか、ビックリした。この人の本、ラジオものやネタ系のは結構読んでるんだけど、こっちのラインのは買ったことなかったんだよな。読んでみよう。
  • 二次元世界の住人から、三次元はどう見える?──『フラットランド たくさんの次元のものがたり』 - HONZ

    作者:エドウィン.アボット・アボット 翻訳:竹内 薫 出版社:講談社 発売日:2017-05-12 フラットランド。そこは二次元の世界。立体が存在しない、いわば紙の上の世界だ。 そんな世界にも住人は存在する。まず女性は直線で、兵士や下層階級の労働者は二辺の長さが等しい三角形。中産階級は正三角形と、それぞれ形で身分が決定されている──そんな特殊な世界を描きながら、自身の今いる次元の世界から、一つ上、あるいは下の世界がどのように見えるのかを物語として描き出したのが、書『フラットランド たくさんの次元のものがたり』だ。 原書が出版されたのは1884年のイギリスである。当時は評価されなかったというが、「二次元世界の住人」という架空の視点を導入することで次元の質をついた内容が、アインシュタインの相対性理論発表以後、再評価された。書はその日語新訳版である。百年以上前のじゃん! と思うかもしれ

    二次元世界の住人から、三次元はどう見える?──『フラットランド たくさんの次元のものがたり』 - HONZ
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    khtokage 2017/06/21
    私もブルーバックスで似た本を読んだ覚えがあるけど、これかな? ちょっと調べたら「四次元の世界」ってのもあるし、クラインの壺の話も載ってた気がするからトポロジーの本だったかもとわからなくなってきたw