来春の大卒予定者は、10月1日時点で就職内定率が60%以下。「超氷河期」を下回る数字だ。 企業が最重要視するコミュニケーション能力を、学生たちは捉えきれずにいる。 (編集部 大波綾 写真 篠塚ようこ) 名刺サイズの白い紙が2枚と黒いサインペンが置かれた机を前に、リクルートスーツ姿の男女14人が緊張した面持ちで座っている。出された「課題」は、名札(ネームカード)を作ること。書き終えたらケースに入れて左胸につけ、挙手をして、「終わりました」と報告する。名札作りは単純な作業だが、手を挙げて、声を出して報告をする一挙手一投足に、講師から次々とダメ出しが飛ぶ。 「手を挙げるならまっすぐ。声が聞こえない。目を見て!」 「声、出ますか。おなかから出ますか。今より5倍出ますか」 「プラスαの心が大事。指示されたことしかできないですか」 「意欲のない人は結構です。どうぞお帰りください。言われたこ