新型コロナウイルス感染者をケアする医療従事者は疲れ果て、恐怖を口にするが、自分がやるしかないことはわかっている。 医療スタッフの指示に従って、写真家のセドリック・ヘルベヘイはマスクとフェースシールド、防護服、二重の靴カバー、二重の手袋を身に着け、ブリュッセルの老人ホームで撮影に臨んだ。そこで、高齢の女性がウイルス検査をしに来た看護師の目をのぞき込み、「怖いわ」と言った。看護師は老人の手を取り、顔を近づけて、こう言った。私も怖いんです。彼女たちは、その日だけで150人近い検査を行った。検査が終わると、看護師はヘルベヘイに向き直り、疲れと強さと悲しみと怒りを含んだ声でこう語った。「この人たちにはほかの誰も近づけません。私がやらなかったら誰がやるのでしょうか?」 ラ・ルビエールの老人ホームで、おびえる入所者を押さえつけてウイルス検査を受けさせる。ベルギーの高い死亡率は、正式な診断や治療を受けない