アホばっかりだった。 犯罪者、稼げぬもの、ニート、間抜け、裏切りもの、嘘つき。 そんなやつらをほっておけなかった。 オレはしがない大工だったが、仕事が暇なときにやつらのためにフィクションを作ってやった。 「神」という絶対的な存在の物語を作った。 まあ既存の宗教の真似だったので、創造性などかけらもなかった。 (そもそも宗教に創造性など不要だ) そいつが俺らを守ってくれていることにした。 フィクションという手段は美しくなかったが、他に適当な手段を思いつかなかった。 アホどもはそれでやっと安心したようだ。 オレは目的を達成できたと思った。 だがあまりにもこれがうまく行き過ぎた。 古い宗教はそれ自身が硬直化していて呪術めいたものになっていた。 万人に認められる簡便さ、わかりやすさを失っていた。 下層階級のためのものではなくなっていた。 オレが作った宗教はその隙間に入り込んだ。 学のない人々の不安な