→紀伊國屋書店で購入 「<劇評家の作業日誌>(54)」 おもしろい人間がいたものだ。“おもしろい”という言い方が乱暴なら、“よくぞこんな風に生きてきた人間がいたものだ”と言い換えてもいい。誰も考えもしなかったことを思いつき、後先考えず大胆に実行し、それを職業にする。挙句、ついには三沢にある寺山修司記念館の副館長という肩書きまで持ってしまった! ただし本業はあくまで「株式会社ポスターハリス・カンパニー」、つまり街中にポスターを貼ることを請け合う業である。それがいつしかポスター収集に発展し、さまざまなところで展示し、世界にまで進出してしまったのだから驚きである。前人未到とはこのことを言うのだろう。 発端は大好きな演劇を世に広めたい、ただこの純情至極の一念だった。彼の一日はだいたいこんなものだった。昼の1時頃に起き出し、近くの定食屋で昼飯を食い、事務所に使わせてもらっていたパルコ劇場の事務所に顔
![『ポスターを貼って生きてきた―就職もせず何も考えない作戦で人に馬鹿にされても平気で生きていく論』笹目浩之(PARCO出版) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/03a2bd74be194a005b692201690c3ffb0a961392/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2FK%2FKinokuniya%2F20180502%2F20180502185339.jpg)