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  • 翁邦雄『日本銀行』(ちくま新書) 6点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    7月28 翁邦雄『日銀行』(ちくま新書) 6点 カテゴリ:政治・経済6点 日銀行金融研究所所長などをつとめ、かつては現在は日銀行副総裁である岩田規久男との間に「マネーサプライは日銀が操作可能か?」という「マネーサプライ論争(岩田-翁論争/翁-岩田論争)」を繰り広げた(著者は日銀の立場からマネーサプライの操作が不可能であると主張した)翁邦雄が中央銀行の役割、日銀行の金融政策などについて解説した。そして当然ながらアベノミクスについてもコメントしています。 目次は以下の通りです。 第1章 中央銀行の登場 第2章 主要中央銀行のトラウマ 第3章 日銀行の登場 第4章 日銀行の組織と業務 第5章 バブル期までの金融政策 第6章 バブル期以降の金融政策 第7章 デフレ脱却の理論 第8章 クルーグマンと「日型デフレ」 第9章 中央銀行と財政政策 第10章 「異次元の金融緩和」とアベノミク

  • 中條誠一『人民元は覇権を握るか』(中公新書) 3点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    6月5 中條誠一『人民元は覇権を握るか』(中公新書) 3点 カテゴリ:政治・経済3点 副題は「アジア共通通貨の実現性」。内容からすると、この副題こそがタイトルに相応しいです。ドルの暴落や人民元が国際通貨として確固たる地位を築く前に、アジア共通通貨の創設を目指して日は努力しましょう、というです。 ただ、そうなると当然「ユーロの失敗が明らかになった今、アジア共通通貨なんてものは実現不可能だし、追い求める価値もないでしょ」という反応が出てくる と思います。実際、著者は2012年の7月に韓国で「アジア共通通貨の実現に向けた日韓の協力」を訴えたときも芳しい反応は得られなかったと書いています (168ー169p)。 それでもアメリカ経済の凋落やそれにともなうドル暴落のリスク、さらには中国が資取引を自由化し人民元の国際化を図ってくるのならば、「夢のまた夢」であっても、アジア共通通貨を追い求めて行く

  • 丸川知雄『チャイニーズ・ドリーム』(ちくま新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    5月18 丸川知雄『チャイニーズ・ドリーム』(ちくま新書) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 『現代中国の産業』(中公新書)において、「垂直分裂」というキーワードをもとして「中国製品はなぜ安いのか?」ということを分析してみせた著者が、さらに「大衆資主義」というキーワードを使って中国の産業を分析してみせた中国の産業のある種のダイナミズム(+無秩序さ)がわかると同時に、著者が「あとがき」言うように「資主義の原初的な姿」(241p)を垣間見ることができて面白いです。 「中国は特殊な国会資主義である」といった事はよく言われますし、最近では「国進民退」のキーワードがよく使われるように、中国経済において公的セクターは大きな存在感を持っています。 しかし、「改革開放」以降の30年ちょっとの歴史を振り返れば、やはり民間企業が経済成長の大きなエンジンだったことは間違いありません。別ブログで紹介 し

    kinbricksnow
    kinbricksnow 2013/05/20
    「大衆資本主義」というキーワードを使って中国の産業を分析してみせた本。 中国の産業のある種のダイナミズム(+無秩序さ)、「資本主義の原初的な姿」
  • 片岡剛士『アベノミクスのゆくえ』(光文社新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    4月25 片岡剛士『アベノミクスのゆくえ』(光文社新書) 9点 カテゴリ:政治・経済9点 前作『円のゆくえを問いなおす』(ちくま新書)でも丁寧で鋭い分析を見せていた片岡剛士の新刊は新書における「アベノミクス分析・一番乗り」のにして、 しばらくこれで十分だろうと思わせる。前作は、安達誠司『円高の正体』(光文社新書)とやや内容がかぶっていて遅れを取った感じもなくはなかったのです が、今作は出版のタイミングも内容も申し分ないと思います。 「アベノミクス」は、「大胆な金融緩和」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の「3の矢」からなっており、その中でも注目が集まっているのが、新しく総裁に就任した黒田東彦総裁による「異次元緩和」とも呼ばれる「大胆な金融緩和」です。 実際、この「大胆な金融緩和」が「円安・株高」の流れをつくり出し、経済に明るい展望をもたらしていますが、この政策に対

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    kinbricksnow 2013/04/25
    片岡剛士の新刊は新書における「アベノミクス分析・一番乗り」の本にして、 しばらくこれで十分だろうと思わせる本
  • 平野克己『経済大陸アフリカ』(中公新書) 10点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    2月22 平野克己『経済大陸アフリカ』(中公新書) 10点 カテゴリ:政治・経済10点 これは非常に読み応えのある。21世紀になって1980年代以来の経済停滞から抜けだしたアフリカの成長の要因とそこに大きくコミットする中国の姿を描き つつ、農業生産や製造業が育たないアフリカ経済の欠点、国際援助の歴史とその有効性、非効率な政府を飛び越えて活躍する企業など、アフリカを通して現在の グローバル経済の姿が見えるようになっています。 また、そうしたアフリカ経済を分析することによって経済発展のメカニズムについての知見も得られるような構成になっており、「どうすれば貧しい国は豊かに なるのか?貧しい人々は豊かになるのか?」という難問に取り組むための大きなヒントを得ることができるでもあります。 目次は以下の通り。 第1章 中国アフリカ攻勢 第2章 資源開発がアフリカをかえる 第3章 料安全保障をおび

    kinbricksnow
    kinbricksnow 2013/02/23
    中国人を使い現地人を雇用しないやり方は批判も浴びています。僕も問題ではないかと思っていました。ところが、この本によるとそれは仕方のないことなのです
  • 津上俊哉『中国台頭の終焉』(日経プレミア) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    2月2 津上俊哉『中国台頭の終焉』(日経プレミア) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 中国に経済についてのというと「楽観論VS悲観論」みたいなかたちになるケースが多いですが、タイトルからするとこれは「悲観論」の。帯にも「中国が 米国を追い抜く日はこない。」とありますし、の中でも中国経済における短期・中期・長期の問題点をあげ、その問題解決の難しさを説いています。 ただ「悲観論」と書くと悲観的な強いバイアスがかかっているようにも思えますが、このを読めば短期はともかく、中長期には中国が今のような成長を続けるのが難しいということがわかるのではないでしょうか。 順番に紹介すると、まず短期の問題はリーマン・ショック後に行われた中国の「4兆元投資」の問題です。 4兆元は当時のレートで約57兆円。この巨額の景気刺激策と金融緩和によって中国経済は多くの国がリーマン・ショックの後遺症に苦しんだ2009年

    kinbricksnow
    kinbricksnow 2013/02/04
    ただ「悲観論」と書くとバイアスがあるように思えますが、この本を読めば短期はともかく、中長期には中国が今のような成長を続けるのが難しいということがわかるのではないでしょうか
  • 浅羽祐樹・木村幹・佐藤大介『徹底検証 韓国論の通説・俗説 日韓対立の感情vs.論理』(中公新書ラクレ) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    12月26 浅羽祐樹・木村幹・佐藤大介『徹底検証 韓国論の通説・俗説 日韓対立の感情vs.論理』(中公新書ラクレ) 8点 カテゴリ:社会8点 中公新書ラクレでこのタイトルだと論壇誌の対談に毛が生えたような内容ではないかと危惧する人もいるかもしれませんが(個人的には著者の1人に『韓国現代史』の木村幹がいるということで手にとってみました)、想像以上に深い分析に満ちていて今後の日韓関係を考える上でさまざまなヒントを与えてくれるです。 もちろん日韓関係を好転させる解答をあたえてくれるようなものではないですが、袋小路に入ってしまった感のある日韓関係が「なぜ袋小路に入ってしまったか?」ということに対する解答としていいだと思います。 このの目次は以下の通り。 はじめに 第1章 座談会の前に―「親日」派大統領が竹島に上陸した当の理由(佐藤大介) 第2章 座談会1―竹島問題でようやく見えてきた問題点

    kinbricksnow
    kinbricksnow 2012/12/27
    【李明博大統領の竹島上陸の理由】野田首相は「法的に解決済み」として取り合わず。キレた李明博大統領が竹島上陸、そして天皇への謝罪要求
  • 村上隆『想像力なき日本』(角川ONEテーマ21) 6点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    11月28 村上隆『想像力なき日』(角川ONEテーマ21) 6点 カテゴリ:芸術・文学6点 世界的に成功している現代アーティスト村上隆が芸術論とマネジメント論を語った。 個人的にアーティストとしての村上隆は評価していて、このの芸術論の部分も面白いと思います。ただ、マネジメント論についてはけっこうブラック企業のマニュアルにも通じるようなところがあり、あんまり感心するわけにはいかない感じですね。 村上隆と言えば毀誉褒貶の激しい人ではありますが、おそらくその理由の一つが芸術家とは思えないような率直さ。他の芸術家たちがぼかして秘密にしておくことを容赦なく言語化してくれています。 例えば、次の言葉。 純粋芸術といえば、ヒエラルキーの上位に位置するジャンルのようにも感じられるかもしれませんが、まったく違います。わかりやすく単純化していえば、顧客が大金持ちだということです。(32p) さらに次の

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    kinbricksnow 2012/11/28
    村上隆と言えば毀誉褒貶の激しい人ではありますが、おそらくその理由の一つが芸術家とは思えないような率直さ。他の芸術家たちがぼかして秘密にしておくことを容赦なく言語化してくれています
  • 白石隆、ハウ・カロライン『中国は東アジアをどう変えるか』(中公新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    8月7 白石隆、ハウ・カロライン『中国は東アジアをどう変えるか』(中公新書) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 21世紀のアジアと世界を考える上で欠かせないのが「中国の超大国化」という要因。特に日ではGDPで中国に抜かれたこともあって、この「中国の超大国化」を一種の脅威とみなす論調が強いです。 中には、超大国と化した中国を中心に「大中華圏」、「大儒教文化圏」のようなものができたり、あるいは新たな「朝貢システム」のようなものができるといった想像力豊かな言説も見かけます。 そういった大風呂敷に対してこのでは、中国と東アジア、特に東南アジアの各国の関係をつぶさに見ていくことで、「中国の超大国化」のインパクトを測定し、さらにかなり長いスパンの歴史的分析、中国内外に住むチャイニーズの現状についての分析を加えることで、今後の中国、そしてチャイニーズについて見定めようとしています。 まず、同じASEA

    kinbricksnow
    kinbricksnow 2012/08/09
    政治経済の「中国化」とも言うべき現象が起こりつつあり、ミャンマー、ラオスの国益とはなにかを定義するパラメータそのものが、国境を越えたエリートの結託によって変わってしまうかもしれない