政府は、2019年10月の消費増税で増える税収の一部を使い、保育士の賃金を引き上げる。衆院選で安倍政権が公約した幼児教育・保育の無償化よりも待機児童対策を優先すべきだとの批判を受け、保育士の待遇改善策を拡充する。 政府が来月まとめる教育無償化などの年2兆円規模の政策パッケージに盛り込み、19年度以降の実施をめざす。300億~400億円規模を保育士の賃上げに充てる方向で調整しており、賃上げ幅などの詳細は今後詰める。 保育現場では、保育士不足が深刻で、今年度予算でも492億円を計上して、全職員に2%(月6千円程度)の賃上げを実施し、技能や経験を積んだ職員には月4万円などを上乗せした。ただ、保育士の賃金水準は16年時点で全産業の平均よりも月10万円超低く、一層の賃上げを求める声が出ていた。 安倍晋三首相が衆院選で公約した政策パッケージの柱は、教育無償化や保育の受け皿整備の前倒し、介護職員の処遇改
経団連が、来年の春闘の指針で、会員企業に対し、月給の3%の引き上げを検討するよう求めることが28日、分かった。安倍晋三首相が10月に、経済界に対し、「3%程度の賃上げ実現を期待する」と要請したことに対応するもので、経団連が具体的な数値目標を示すのは異例だ。 来週開催する会長・副会長会議に案を提示し、来年1月に春闘指針の「経営労働政策特別委員会報告」を決める。 現段階では「3%賃上げが社会的な期待」と表現する予定だ。すべての企業に3%を求めるのではなく、従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)と働いた年数に応じて基本給が増える定期昇給(定昇)を合わせ、3%の賃金引き上げが可能な企業が対象。デフレ脱却のためにも取り組んでほしいとの姿勢を示す方針だ。 経団連では、既に5年連続での賃金引き上げを呼びかけることを決めている。さらに、働き方改革で残業代が減少し、年収が減額になることを問題視
広告大手の電通が、過去2年分の未払い残業代約24億円を12月中に支払うことが28日、分かった。これまで会社にいるのに労働時間として認めてこなかった分について、業務との関連性が強かったとして残業代を支払う。従業員の自己申告に基づいて調査していた。 電通の山本敏博社長は7月の記者会見で、過去に残業代の未払いがあったとして調査に乗り出す方針を表明。今夏以降、2015年4月から今年3月までに在籍した全従業員に自己申告してもらう形で、この期間の未払い残業代の調査を実施した。 長時間労働が常態化していた電通ではこれまで、従業員が時間外に会社に残って過去のCM映像や担当企業の資料を見たり、語学の勉強をしたりした時間を「自己研鑽(けんさん)」として労働時間と認めてこなかった。調査では、従業員に電子メールや手帳、インターネットの閲覧履歴などから、こうしたことをしていた時間を自己申告してもらった。 電通は17
違法残業事件で有罪判決が確定した大手広告会社・電通(東京)が、事実上の未払い残業代として計約23億円を社員に支給することが、同社への取材でわかった。 社員の自己申告に基づいて勤務時間を改めて精査した結果で、一時金として支払うという。 同社によると、2015年4月から今年3月の間で、業務の性格が強いにもかかわらず、労働時間として申告しなかったものがあれば、自己申告するよう社員に指示した。その結果、業務と認められるケースが多数判明。17年1~9月期連結決算で「勤務時間に関する一時金」として23億6700万円を計上した。来月中に該当者に支払う方向で、調整しているという。 同社は昨年末の記者会見で、入力された社員の終業時間と、実際の退館時間に1時間以上の乖離(かいり)があったケースが、15年は月平均約8200件に上り、労働時間の「過少申告」が横行していたと説明。自己啓発や情報収集名目で、職場に残る
東京ディズニーランド(TDL、千葉県浦安市)でキャラクターの着ぐるみを着てショーやパレードに出演していた契約社員の女性(28)が、腕に痛みが出るなどの疾患を発症し、船橋労働基準監督署(同県船橋市)が労災認定していたことが分かった。認定は8月10日付。TDLを運営するオリエンタルランド(浦安市)と女性が所属する労働組合が明らかにした。 女性は入社1~2年程度。月に20日ほど出勤し、最大で1日2回、さまざまなキャラクターの着ぐるみ(重さ10キロ前後)を身につけてショーやパレードに出演していた。昨年11~12月は1回45分間のクリスマスパレードなどに計約50回出演した。
東京ディズニーランド(TDL、千葉県浦安市)でキャラクターの着ぐるみを着てパレードなどに出演していた契約社員の女性(28)が、神経や血流障害で腕などに痛みが出る「胸郭出口症候群」と診断され、船橋労働基準監督署(同県船橋市)から労災認定を受けていたことが22日、同監督署などへの取材で分かった。 関係者によると、認定は8月10日付。女性は平成27年2月から、着ぐるみを着用しさまざまなディズニーキャラクターに扮(ふん)して、パレードに出演していた。平成28年11月ごろから、左腕が重く感じるといった症状を発症したが、出演を続けた結果、症状が悪化。29年1月から治療のため休職している。現在は症状が回復してきており、会社側と復職に向けた話し合いをしているという。 ディズニーランドを運営するオリエンタルランドによると、女性の28年11~12月のパレードやショーへの出演回数は計50回に上った。着ぐるみや衣
東京ディズニーランド(TDL、千葉県浦安市)でキャラクターの着ぐるみを着てショーやパレードに出演していた契約社員の女性(28)が、腕に激痛が走るなどの疾患を発症したのは過重労働が原因だったとして、船橋労働基準監督署(同船橋市)が労災を認定していたことが分かった。 認定は8月10日付。遊園地のショーなどの出演者が出演中の転倒などによる負傷で労災認定されるケースは少なくないが、事故によるけがでない疾患は過重業務との医学的な因果関係の判断が難しく、労災が認められる例は珍しいという。 女性は2015年2月から、様々なディズニーキャラクターに扮してショーやパレードに出演していた。 女性によると、16年11月ごろから左腕が重く感じ、手の震えが止まらなくなったが、休みを取りにくく出演を続けたという。17年1月に入って症状は悪化。左腕をあげると激痛が走り、左手を握っても感覚がなくなったという。病院で診察を
東北大が非正規職員の有期雇用契約を5年を超えて更新できないよう規則を改めた問題で、大学は28日、非正規職員を対象にした無期雇用の正職員への採用試験の結果を公表した。応募した821人のうち合格は690人。職員組合によると、不合格となった131人は雇い止めになる可能性が高いという。 東北大の有期雇用の非正規職員は3759人(今年4月時点)。このうち講師や医師らを除き、約1千人が来年3月末に雇用期間が5年に達する。 改正労働契約法では来年4月から、通算5年を超えて契約更新を繰り返すと、労働者が無期雇用化を求めることができる。このため東北大は5年を超える契約更新ができないように規則を変更。現在の非正規職員を対象に、業務などを限定した無期雇用の正職員を募集していた。 大学ホームページによると、試験では9、10月に書類選考や小論文、面接などを実施。職員組合によると、合格者は教授秘書や医療職などが多く、
東北大が「限定正職員」採用試験の結果を公表した28日、同大職員組合などは仙台市内で集会を開いた。同大の非正規職員ら約150人が参加し、「東北大は労働契約法の脱法行為の先陣を切った」などと大学当局を口々に非難した。 東北大職組の片山知史執行委員長(農学研究科教授)は「そもそも推薦をもらえず、受験できなかった人も多く、既に雇い止めを宣告されている。職員の暮らしが懸かった切実な思いを当局は知ろうとしない」と訴えた。 2018年4月に非正規職員約750人を無期転換の対象にする名古屋大の職組の担当者から大学との交渉経過の報告があった。 東北大職組や宮城県労連は28日、「ストップ雇い止め!ネットワークみやぎ」を結成。この集会で「東北大は学問の府として社会的責任を放棄した。問題を広く訴えていこう」と宣言した。
<東北大雇い止め>「限定正職員」合格669人 推薦ない職種は6割落ちる 東北大が3000人規模の非正規職員を2018年3月末以降、順次雇い止めにする問題で、同大で同年4月に導入される「限定正職員」採用試験の合格者が669人だったことが28日、分かった。所属部局の推薦が受験の条件となる職種で全員が合格した一方で、推薦のない職種の合格率は38.8%にとどまった。 東北大は同日、受験者に合否を通知した。試験は事務職の一般業務限定職員、技術職の特殊業務限定、教員付き秘書らの目的限定の3職種であり、所属部局の推薦がない一般では受験者214人中、合格は83人。特殊は189人、目的は397人で全員が受かった。 労働契約法によると18年4月以降、同じ職場で通算5年を超えて働く有期雇用者は雇用主に無期転換を申し込める。東北大には5年超の非正規職員が約1050人在職しているが、同大は受験者らの在職年数を公表し
東北大が非正規職員の有期雇用契約を5年を超えて更新できないよう規則を改めた問題で、大学は28日、非正規職員を対象にした無期雇用の正職員への採用試験の結果を公表した。応募した821人のうち合格は690人。職員組合によると、不合格となった131人は雇い止めになる可能性が高いという。 東北大の有期雇用の非正規職員は3759人(今年4月時点)。このうち講師や医師らを除き、約1千人が来年3月末に雇用期間が5年に達する。 改正労働契約法では来年4月から、通算5年を超えて契約更新を繰り返すと、労働者が無期雇用化を求めることができる。このため東北大は5年を超える契約更新ができないように規則を変更。現在の非正規職員を対象に、業務などを限定した無期雇用の正職員を募集していた。 大学ホームページによると、試験では9、10月に書類選考や小論文、面接などを実施。職員組合によると、合格者は教授秘書や医療職などが多く、
大阪医療刑務所(堺市)の元派遣社員の男性が21日、国に対し、労働者派遣法に基づき直接採用することや200万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。同法が定める雇用安定のための措置を国が果たさなかったと主張している。 訴えを起こしたのは大阪府阪南市の尾下佳央さん(61)。訴状などによると、尾下さんは2012年4月、同刑務所の収容者を病院などに移送する車の運転業務に就いた。刑務所が「請負契約」を結んだ会社の社員だったが、業務に関する直接の指示は刑務所の職員から受けており、偽装請負の状態だった。偽装請負は労働者の安全管理の責任があいまいになることなどから違法とされている。 尾下さんから相談を受けた大阪労働局は昨年11月、刑務所に是正を指導。これを受け、刑務所は今年1月、直接、業務の指示ができるよう同社と「派遣契約」を結び直した。しかし3月末で契約期間が終わり、尾下さんは雇い止めに。4月以降、別会
外国人が就労することをハローワークに届け出ていなかったとして、大阪府警南署は29日、雇用対策法違反容疑で、豚骨ラーメン店「一蘭」の本社(福岡市博多区)や大阪市中央区の店舗「一蘭 道頓堀店別館」を家宅捜索した。 同署は28日、働く資格がないのに今年4〜11月、同店で働いたとして、入管難民法違反(資格外活動)容疑でベトナム国籍の女(29)=大阪市西成区=を逮捕した。同署によると、容疑を認めているという。女は3月に通っていた専門学校を除籍されていた。 同署によると、外国人を雇用する際は雇用した翌月末までにハローワークに届け出なければいけないが、同社は期限の平成28年8月末までに届け出をしなかったとしている。 ▼【関連ニュース】おひとりさま、世界の胃袋つかむ…中国人も大好き「一蘭」NYに米国1号店
国内外で約70店舗を運営する人気ラーメン店「一蘭」が、外国人雇用を国に届け出ていなかったとして、大阪府警は29日、福岡市博多区の本社などを雇用対策法違反容疑などで捜索した。 府警は28日、大阪市中央区の道頓堀店別館でアルバイトをしていたベトナム人の女(29)が、今年3月に専門学校を除籍になり、就労資格がなくなった後も違法に働いたとして、入管難民法違反容疑で逮捕。同社が雇用対策法に基づく届け出を怠っていた疑いが浮上した。 一蘭の広報担当者は、従業員の逮捕について「学校を除籍になったことを把握できておらず、今後、確認を強化したい」と説明。国への届け出は「一部漏れていた可能性があり、事実を確認する」としている。
二〇一三年七月に過労死したNHK記者の佐戸未和さん=当時(31)=の両親が共同通信の取材に応じ「NHK側が未和のことを忘れずに再発防止の対策をどう進めているのか、きちんと私たちに教えてほしいし、見続けていく」と強調。過労死は「明らかに人災だ」とし、改めてNHKの労務管理を批判した。 母恵美子さん(68)は「全国過労死を考える家族の会」に参加し、八日に東京都内であった厚生労働省主催の過労死防止の啓発シンポジウムでも遺族の思いを伝えた。「未和の死の原因はどこにあるのか。同じ過ちを二度と繰り返させたくない」と訴えを続けていくという。 未和さんは都議選や参院選の取材に追われ、労働基準監督署の認定では、亡くなる前一カ月の時間外労働は百五十九時間。遺族側の調査では二百九時間に上った。父守さん(66)は「人員配置とか業務の割り振りは考えず、記者に全部かぶせていた」と指摘した。 当時、NHKは記者について
埼玉県内の観光バス会社の男性運転手(44)が精神疾患を発症したのは長時間労働が原因だとして、春日部労働基準監督署(同県春日部市)が労災認定していたことが22日、分かった。認定は9日付。労基署は精神疾患を発症する直前の1カ月間の時間外労働は181時間だったと認定した。男性らが東京都内で記者会見し、明らかにした。代理人弁護士によると、男性は2015年1月に夢湖観光バス(同県久喜市)に入社。中国人観
会社のビルに入る時、わずかな段差に阻まれた。松葉づえが滑って、転んでしまった。タクシーの運転手に手伝ってもらって事なきを得たが、面接の担当者には言えなかった。「『そんな体では、採用しない』と言われるかもって思ったから」。朝から雨が降り、肌寒かった十月下旬の日のことを名古屋市北区の女性(57)は振り返る。 女性は脳性まひのため脚が不自由で、松葉づえと車いすが手放せない。同区の障害者就労継続支援A型事業所「パドマ」で働いていたが、運営していた同区の民間企業「障がい者支援機構」が経営破綻し、急に八月末で解雇された。 もともと、名古屋市の区役所で三十年余り、電話交換手をしていた。健常者の職員と二人の部署で、かかってきた電話を担当部署につないだ。座ったままできる仕事だが、同僚より動きはゆっくり。部屋の掃除や、朝にお湯を沸かしてポットに入れるのも同僚がしてくれていた。「私には運べない。やると言っても『
本業のもうけを増やす努力をせずに、国の給付金や助成金で会社を運営する-。名古屋市北区の就労継続支援A型事業所「パドマ」の利用者だった精神障害がある男性(62)にとって、それは以前、市内の別のA型で見たのと同じだった。
八月末に閉鎖された障害者の就労継続支援A型事業所「パドマ」(名古屋市北区)で、利用者に仕事のやり方を教えていた元従業員女性(69)には、忘れられない光景がある。金融機関の通帳を開き、にこにこしていた運営会社「障がい者支援機構」(同)の男性社長。 新たなA型を立ち上げた直後のことだった。女性は直接、通帳を見てはいないが、国からの給付金などで、口座残高はそれまで見たこともないような数字だったのだろう。のぼせ上がったような表情の社長に「これはみんなの税金。よく頭に入れておいて」。女性はすぐに、くぎを刺した。でも、この声が届いたのかどうかは分からない。 女性がパドマに就職したのは設立から一年後の二〇一四年。元々、社長は十年来の知人だった。以前、障害者の就労支援機関で働いていた社長の印象は「障害者に丁寧に接し、仕事ぶりも真面目な人」。女性がパドマに入ったのは、社長への信頼があったからだ。しかし、「こ
名古屋市や岡山県倉敷市などで、一般企業への就労が難しい障害者が働く「就労継続支援A型事業所」が経営破綻し、働いていた障害者が一斉に解雇される事案が相次いでいる。取材からは、「うまみのあるビジネス」として参入し、経営努力を欠く事業者が一部にいたことがみえてきた。しかし、事業所の閉鎖で一番困ったのは破綻した事業者ではなく、行き場をなくした障害者だ。一連の問題は、どんな課題を浮かび上がらせたのか-。 (出口有紀) 「A型が閉鎖され、大勢の障害者が解雇されそうだ」。初めてそう聞いたのは八月七日。名古屋市北区にある、そのA型「パドマ」に向かう。ただし、その時点では「A型って何?」というのが本当のところ。 障害者向け作業所の組織「きょうされん」愛知支部事務局長の大野健志さん(46)とパドマの近くで待ち合わせた。大野さんに聞くと、A型とは障害者がパン作りなどの仕事をして給料をもらうところ。パドマは同区の
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